ロータス通信287号を発行しました。

   

来年秋の留学生サミット、大枠が決定!

基盤強化と共に強力なご支援をお願いします!

               理事長 石渡 博明

 12月だというのに20℃を越える日があったりと、あいかわらず天候不順が続いていますが、暦は確実に年の瀬に迫り、年末のご寄付をお願いする時節になりました。この間、『ロータス通信』誌上で繰り替しお伝えしてきましたように、文科省の補助金打ち切りにより、ただでさえ厳しい援護協会の財政は、ますます厳しい状況を迎えてきています。

 また、協会設立50年を前にして、援護協会事業の主柱ともいうべき、この間の留学生招聘事業・支援事業の中間総括をかねて、来秋、留学生サミットを実施する旨をお伝えしてきましたが、去る11月22日の第2回準備会で大枠が決定、いよいよ本格的な準備に着手・突入することになりました(詳細は5ページの紹介記事をご参照ください)。

 そうした意味で、援護協会の基盤強化へ向けてはもちろんのこと、留学生サミットの成功へ向けて、従来にも増しての財政的なご支援を、心からお願い申し上げる次第です。例年のように、振替用紙を同封しましたので、奮ってお振込みくださいますようお願いいたします。

 さて、この間の留学生や事務局の動静についてですが、業務日誌にもありますように、従来からの板橋福祉大会や板橋障害者週間への参加、地域の小学校などへの出前講座といった形での地域とのネットワークを強化していく取り組みのほか、新村さん・黒岩春地さんといったベトナムやカリブの島国の視覚障害者の支援を続けておられる方々との交流といった取り組み等々、様々な活動が引きも切らないと言った状況です。また2020年のオリンピック・パラリンピックを見据えて、ボランティア活動やSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みといった新しい課題も出てきました。(尚、黒岩さんについては、本号3ページにご寄稿を掲載させていただきましたので、ご参照ください)

 そうした中で特記すべきは、台湾のシズ(蔡静如)さんへの支援です。シズさんについては、本誌282号でもご紹介しましたように、台湾が文科省の補助対象外であったところから、昨年度はご本人の強い留学希望にもかかわらず、援護協会の正規の留学生として受け入れることができず、聴講生として、ミャンマーのリンさんの予備研修に自費参加してもらったものです。ところが、今年度からは文科省の補助金(ODA予算)が打ち切られたことから、怪我の功名といいますか、文科省の縛りがなくなり、援護協会の正規の留学生として、支援ができる運びとなったものです。シズさんの場合、既に6ヵ月の事前研修は修了しているので、来年の1月に盲学校の受験のために来日、めでたく合格すれば、援護協会86番目の留学生として、筑波大附属視覚特別支援学校にお世話になる予定です。

 あいかわらず思いはあっても、なかなか十分な取り組みができず、忸怩たる思いでいっぱいですが、来年も、従来に増してのご支援・ご協力を、改めてお願いするものです。よいお年をお迎えください。

 

≪セントルシア「指圧研修センター」建設を日本から応援しています!≫

                                              黒岩春地(前JICAシニアボランティア)   

  ツンツン、窓ガラスをつつく音。毎朝、5時を過ぎると、目の前のマンゴーの木から、小さなロビン(コマドリの一種)が起こしに来ます。チョロと名付けました。やがて結婚して奥さんのチョラ、子供のチョラメも来るようになりました。朝、窓を開け、パンくずをやり、元気にしてた?と彼らと話すのがセントルシアでの毎朝の日課となりました。

皆さん、お元気ですか。私はカリブ海に浮かぶ小さな島、セントルシアから先月帰国した、黒岩春地と申します。以前、セントルシアに渡ったばかりの頃、このロータス通信(2017年4月号)に寄稿させていただきました。ひょっとしたら覚えておられる方もいるかもしれませんね。今回は、その後、その島国で何をしたのかを、ご報告したいと思います。

セントルシアに行って10カ月目。ようやく暮らしに慣れた2017年7月、勤めていた視覚障害者協会が、「経営難で3か月以内に閉鎖!」というニュースが流れました。ガーンです。人員整理が進む中、必死の資金集めを開始。やがて協会をつぶしてはいけない、という思いが、全土にうねりのように広がり、テレビでの呼びかけやチャリティウオークなどのドーネーション活動にもつながっていきました。

一方、協会の閉鎖が心配されていた2017年10月、思い切ってニカラグア東洋医学大学を訪ねました。そこでは、5年前、視覚障害者を対象にした指圧コースが開設されていたのです。そこでお会いした八巻学長や全盲のエンリケさんとの出会いが、セントルシアに視覚障害者のための「指圧研修センター」を作りたいという私の夢を後押ししてくれました。エンリケさんが、全盲の綱川章(あきら)先生に会い、「初めて生きる意味を知った」と語ってくれた時の感激は忘れられません。今は独立して小さなクリニックを開業している、その店の名は、「クリニック アキラ」となっていました。その後、ニカラグア東洋医学大学に留学生を送るプロジェクトは、ニカラグア国内の治安悪化のため中止となりましたが、有難いことに、ニカラグア大学の方からセントルシアに指圧講師を派遣してくれることになり、早ければ来年にも、研修センターがスタートするかもしれないところまで来ました。JICAからも、指圧ボランティアが将来、この計画に参画してくれる予定です。

まだ資金面の手当てができておらず、教材や必要な設備の準備など、やらないといけないことが沢山ありますが、今、セントルシアの目の不自由な人たちは、新しい自立の道を求めて、この計画に大きな期待を寄せています。1年コースの定員5名でスタートする計画ですが、既にたくさんの人がこのプロジェクトに手を上げています。JICA関係者や青年海外協力隊員たち、台湾大使館、など多くの方々がこの指圧研修センタープロジェクトを応援してくれています。以上が、その後の報告です。

今、日本からは一番遠い、地球の反対側で、こんな夢プロジェクトが動いていることをお伝えしたくて、ペンをとりました。うまくセントルシアでスタートできれば、やがてはカリブ海諸国全体から、生徒を募集できればいいなあと思っています。セントルシアを離れた日、飛行機の中で受け取ったメールに、「ハル、これが本当のさようならではない、このプロジェクトを一緒になって必ず実現させよう!」と、ありました。私の敬愛する、協会の理事長、全盲のMr.Avrilからのものでした。

今は佐賀県国際協会に勤め、日本に暮らす外国人のために支援活動をしている自分ですが、時々、セントルシアのみんなの顔を思い出し、頑張れよ!と呼びかけています。今頃、チョロたちは主のいない家を覗きながら、どうしているのか、そっちの方もちょっと心配です。でもあの熱くたくましい、セントルシアの風土の中で、私の仲間たちもチョロもきっと明るく陽気に動き回っていることでしょう。

遠い日本からですが、夢実現のため、少しでもできることを引き続き応援していきたいと思っています。     (2018年11月12日)

 

≪2019年11月30日、11カ国の元留学生を日本に招きシンポジウムを開催します≫ 

?45年の視覚障害留学生招聘活動の成果のまとめと今後の支援の在り方を探る?

 

これまで私たちはアジアを中心に19カ国から、視覚障害をもつ若者85名を日本に招聘して、盲学校における理療知識と技術の習得と、日本における生活の支援を行ってきました。それは、経済的な自立が阻害されている発展途上国の視覚障害者が、それぞれの国で理療の施術を行い、日本の視覚障害者施策で良いところを持ち帰ることにより、各国の視覚障害者福祉の増進を図るためのリーダーの育成を目的とするものでした。上記のような長年の活動により、多くの元留学生たちがそれぞれの国で、困難な状況にもかかわらず自立に向けた実践を行っています。

しかしながら、上記に掲げた当初からの目的が問題なく達成されているとは限りません。45年の間に視覚障害者をめぐる状況が各国においてもかなりの変化をきたしていること、帰国してからのフォローが弱く、当初の目的達成に向けた活動が個々人任せになっていたことなどが大きな原因だと思います。

 このような中で、私たちは、元留学生の立っている状況のきちんとした把握と、自立に向けた課題の整理を、ぜひともしていかねばならないと考えます。その活動は、日本とそれぞれの発展途上国同士との繋がりだけでなく、多様で重層的な繋がりの中でされていかねばなりません。そのような意味で、各国で自立に向けた活動を行う元留学生に、それぞれの国での取り組み、視覚障害者事情の現状把握の整理をしてもらい、それを一同に会して整理していくことが大切だと考えます。そして、彼らに、数年から長い人は30年ほどの隔たりのある日本の視覚障害者事情を再度学習してもらい、今後のそれぞれの国における視覚障害者福祉の増進に役立ててもらうことが大切だと考えます。

・以下の11カ国から各1名を招きますが、なるべく来日時期が同じにならないようにします。今、人選を最終確認しています。

★モンゴル、中国、韓国、台湾、ベトナム、タイ、ミャンマー、マレーシア、インドネシア、キルギス、ケニア  

・11月28日(木)に来日してもらいます。

・11月29日(金)の午後は、彼らの希望もあり、マッサージ研修を開催します。

・11月30日(土)の午前と午後にシンポジウムを開催します。(午後は、100名規模での開催を考えております。)

・また、その日の夜に「再開と交流のパーティー」を開催します。

・12月1日(日)帰国します。(シンポジウム等、開催場所と宿泊場所は未定ですが、きまりしだいHP等でお知らせします。)

日程の変更はありませんので、多くの皆様のシンポジウム等へのご参加をお待ちしております。

どうか、達成のためのご支援も、よろしくお願い申し上げます。

 

≪見えない・見えにくい人に、便利なグッズの展示会&サポート体験会≫

?アメディア様の全面的なご協力で、視覚障害者にいろいろ便利なグッズなどを集めた展示会を開催します。

また、留学生によるiPhone体験会やマッサージ体験、大活字本の情報やタイ・モンゴル等の手作り品の販売、援護協会の紹介など、他ではなかなか体験できないこともいっぱい!!です。

見えない人へのサポート体験などもあります。

三田線沿線でなかなかこのような展示会はありません。ぜひともお出でになって、有意義な情報を得てください。

また、近所の皆様もお誘いあわせの上、ぜひ気楽においで下さい。

日時:3月24日(日) 10時?15時30分

場所:国際視覚障害者援護協会3階多目的室

都営三田線本蓮沼駅A1出口を出て右に曲がり、最初の信号の手前を右に曲がった3軒目。今後、詳しいご案内をHPに掲載します。

(エレベーターはありません。また、上履きをお持ちください。)

 

≪「SDGs」を知ってみよう!!≫

皆さんは、「SDGs」という言葉をご存知ですか。私は聞いたことはありましたが、どんなものか知りませんでした。ところが、IAVIのある板橋区での地域活動で頻繁に聞くようになりました。

SDGs(持続可能な開発目標)とは、国連加盟193カ国が総意で決定した、2030年までに達成すべき以下の17の目標を言います。これらには「誰も置き去りにしない」という理念があります。世界で、日本で、地方自治体や様々な企業で、取り組みが始められているようです。

地域生活を考えるにあたっても「世界」を考えないといけない。私達の提案も、地域に自然になじんでいくような方向に、進んでくれるのではと思っています。板橋でも「SDGsいたばしネットワーク」を結成して、地域の課題を共に学びながら協働して、解決に取り組んでいくということです。このような地域の動きを受け止めながら、私たちは、引き続き視覚障害留学生支援と視覚障害者理解の促進という、二つの課題を提起して行きたいと思います。

私たちにとっても大切なことですので、17の課題を示します。

目標1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。

目標2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。

目標3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。

目標4. すべての人に、包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。

目標5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性および女児の能力強化を行う。

目標6. すべての人々に、水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。

目標7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。

目標8. 包摂的かつ持続可能な経済成長およびすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。

目標9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進およびイノベーションの推進を図る。

目標10. 各国内及び各国間の不平等を是正する。

目標11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市および人間居住を実現する。

目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する。

目標13. 気候変動およびその影響を軽減するための緊急対策を講じる。

目標14. 持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する。

目標15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復および生物多様性の損失を阻止する。

目標16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。

目標17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。

 

SDGsいたばしの集い 2030年へ?誰も置き去りにしない・されない社会を?

板橋区における活動のスタートです。12月1日に第一回準備会が開催され、事実上のスタートを切りました。

開催日時:2019年3月23日(土)18:30?21:00

会場:板橋区立文化会館大ホール

 

◎「かかわる・つながる」SDGs◎?だれも置き去りにしない・されない? 

第4回清水地域活動見本市

援護協会のある板橋区蓮沼町は、周辺の4つの町と合わせて「清水地域」として、地域を構成するたくさんの人たちや団体が集まり、関わりを持ちながら、暮らしやすい地域作りを進めています。

日時:2月23日(土)11時から15時30分

会場:まなぽーと大原(旧大原生活学習センター)

アクセス:都営三田線本蓮沼駅A3出口徒歩5分

(中山道をはさんで、援護協会の近くです)

 

≪2019年新年会のお知らせ≫

今回は、新年会開始前に第1部として、マッサージ体験とiPhone体験、アジアの民芸品コーナーなどもあります。少しリラックスして、新年会を始めましょう。日ごろご支援いただいている皆様と、楽しい交流の時間を持ちたいと思います。

日時:2019年1月12日(土)11時から15時★11時から12時:マッサージ体験や、iPhone体験など、ご自由にお過ごしください、

★12時から15時:新年会(11時30分から受付開始)

場所:清水地域センター:板橋区泉町16?16

電話:03?3969?7564

都営三田線本蓮沼駅 A4出口 徒歩4分

集合:以下の二つの時間に本蓮沼駅A4出口でお待ちします。

第1部参加: 10時30分  

新年会参加:11時30分

会費:3000円

参加のお申し込み:12月28日までに、以下の電話かメール でお願いします。お申し込みは事務局へ

e-mail:info@iavi.jp 電話:03-5392-4002

 

本号の写真 セントルシアより

毎朝起こしに来る、チョロ

毎朝起こしに来る、チョロ.JPG

協会で作ったオリジナルノートを買ってくれた子供たち

協会で作ったオリジナルノートを買ってくれた子供たち (2).JPG

黒岩さんを指圧してくれたエンリケさん

私を指圧してくれたエンリケさん.JPG

=業務日誌=

9月2・3日 キルギス映画祭鑑賞。

9月 5日 庄さん台湾行き(?12日、日本式あんま研修通訳)。

9月 6日 大活字・市橋さん、来館・事務。

9月 7日 視覚障害者ボランティアセミナーに参加。

9月20日 グルムさん・ギルナザさん・松田さん、来館・宿泊。お互いさまネット月例会に参加。

9月21日 新村さん夫妻、来館。

9月24日 グルムさんコンサートに参加・鑑賞。

9月30日 立憲民主党フェスティバルに大活字とともに出展。

10月 1日 アクモールさん、筑波技大に復学。

10月 5日 元JICA派遣員・黒岩春地さん、来館・情報交換。韓星民さん夫妻、来館・宿泊。

10月11日 庄さん上海行き(?17日、囲碁関係者訪中通訳)。

10月12日 クンチャンさん、来館・宿泊。

10月15日 板橋視覚障害者福祉協会、多目的室を使用。

10月25日 鳩山由紀夫事務所訪問、芳賀さんと情報交換

10月26日 国際交流基金、那波さん・上野さん来館・聞き取り。

10月27日 日盲委のWBU-APモンゴル大会報告会に参加。

10月28日 卒後鍼灸手技研究会の事務局事務を担当。マンダハさん、NHKラジオに出演。

10月30日 志村第三小に出前講座。日本盲人福祉員会と会合・情報交換。

11月 1日 新年会会場申し込み。サイトワールドに参加。

11月 8日 板橋福祉大会に参加・出展。アズリンさん・友人夫妻、来館・宿泊。

11月10日 ガンゾリグさん、来館・宿泊。

11月19日 ガンゾリグさんの手術に立ち合い。

11月22日 留学生サミット準備会、第2回会合。

11月28日 筑波盲にシズさん(台湾)の願書を提出。

12月 1日 SDGs推進板橋委員会準備会に参加。

12月 2日  点字あゆみ会に出前講座。

12月 4日 東京都の監査に立ち合い。立憲民主党つながるフェスティバルに出展。

12月8・9日 板橋障害者週間に出展。

12月 9日 卒後鍼灸手技研究会の事務局事務を担当。

12月21日 平塚盲、冬休み。22日 筑波盲、冬休み。

 



社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会(IAVI):https://iavi.jp/

〒174-0052 東京都板橋区蓮沼町20-18

電車でお越しの方:
都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅下車
「A1」出口を右に出て一つ目の信号を右に曲がり、右手3軒目。徒歩3分。

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