NO.278

      2024/02/27

【ロータス通信278号 2017年2月14日発行】

いつもご寄付をありがとうございます!今年もよろしくお願いいたします!
                                                                                                     理事長 石渡 博明

例年のように本誌前号では、年々進行する窮状と新年度事業に向けてのお力添え
を訴えさせていただきましたが、厳しい経済状態にもかかわらず、多くの方々か
らご寄付を賜り、誠にありがとうございました。
心より御礼申し上げます。本年も引き続き、視覚障害留学生と留学生支援事業へ
のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。
さて、予備研修中の留学希望生3人ですが、相変わらず仲よく元気に日本語・日
本点字の学習、生活訓練・歩行訓練に励んでいます。
進学先が未定だった2人のうち、モンゴルのバヤルさんは12月中に無事、筑波
技大の情報システム学科に合格が決まったものの、ミャンマーのコーコーさんに
ついては、本人はもとより事務局・関係者とも不安を抱えたまま年を越し、2月
5日現在でも進学先が決まっていない状況です。何としても次号では朗報をお届
けしたいものです。
 このように、留学生招聘事業は、援護協会の出発点でもあり創立以来の中心事
業でもあるにもかかわらず、依然として制度的な欠陥を抱えたままのため、理事
長という立場の者が言うのも不謹慎かもしれませんが、よくぞこれまで続いて来
たものとため息が出るほど、毎年毎年、綱渡り的な運営で急場を凌いできたもの
です。
 とは言え、この間、海外からのお問い合わせや要望が増えてきていることも事
実で、新年を迎え身が引き締まる思いです。
ご期待・ご要望に応えるべく、これまでの実績―さまざまなつながりを元に、来
日前・帰国後の派遣元関係機関や支援者・帰国留学生との関係の構築、滞日中―
学習中のフォローの充実等々、できる範囲は限られていますが、それなりに取り
組んできたつもりです。
業務日誌にもある「一枝のゆめ財団」への積極的なかかわりもそうしたものの一
つです。同財団は三療(鍼・灸・マッサージ)の活性化のための拠点施設「三療
プラザ館」の建設を目指すもので、IAVIとしては、そのうちの国際事業を中心的
に担っていくとともに、留学生の盲学校卒業後の実技研修の場を確保し、来日研
修の更なる充実を図っていきたいと考えています。
また、本誌第276号でご紹介しました、センスリヤンさんを始めとするラオス
の視覚障害者支援の取り組みを具体化するとともに、帰国留学生の三療技術のブ
ラッシュアップの第一歩として、事務局としてお手伝いをさせていただいていま
す卒後鍼灸手技研究会の教材の活用など、今年も身近なところから国際協力の輪
を広げていくつもりです。
そうした交流の場の一つ、3月25日の卒業・入学のお祝い会(10ページ参照)
へ、皆様、奮ってお出でください。

≪2017年、海外から新年のメッセージ≫         

☆シェ・インチャン(台湾)

新年あけましておめでとうございます。
私は、1965年の生まれで、1987年に日本へ留学に来ました。山梨県の盲
学校で4年間、鍼・灸の勉強をして、それから東京で8ヵ月ぐらい、若月治療院
というところで研修をしました。
1991年に台湾に帰ってきました。1992年の2月から台北盲学校の理療科
の教員として勤めています。もう25年目ということですね。この20年間ずっ
と、あんま・マッサージの授業を受け持って、教えてきました。今、家族は3人
家族で、娘はもう大学3年生になっています。同じ特殊教育関係の勉強をしてい
ます。家内も弱視で、私自身は全盲で、二人で、私は盲学校の先生をして、家内
は盲学校の職員として点字の教科書をつくっています。
もしできたら、今年日本に行きたいです。お正月に、山梨の盲学校時代の担任の
先生や寮母さん、友達たちに電話で話したんですけれど、「みんな、もう年取っ
てきてるから、謝君に会いたい」と言ってくれてるんです。できたらこの夏休み
に日本へ行って、山梨の盲学校へ行って、先生たちや、友達に会いたいという希
望をもっています。
今留学しているIAVIの後輩たちへ、日本で勉強するということはとても良い経験
になりますから、一生懸命に勉強してほしいです。国に帰ったら、同じ視覚障害
者のためにいろいろやってあげてください。要するに、目が見えなくても幸せに
暮らせるように、みんなで頑張りましょう。
ありがとうございました。          

☆キティポン・ウェッチャモン(タイ)

IAVIのみなさま、新年あけましておめでとうございます。少しメッセージを言わ
せていただきます。
私は、二十何年前に、その当時の大阪府立盲学校の理療科で勉強しました。今の
仕事は、タイの盲人センターで働いています。解剖学を教えています。
皆さんはどうお過ごしでしょうか?いま世界の経済は引き続いて悪いですから、
私たちが生活するには大変だと思います。
こんな生活の仕方について、ある考え方を皆さんに伝えたいと思います。それを
提案してくれたのは、タイの前の王様(プミポン国王)です。 
その考え方は、自分の持っている力で、自分の持っているお金で、良い生活がで
きるように努力するということです。皆さんは、晴眼者の方でも、目の悪い方で
も、この考え方に従っていい生活ができるように努力して、頑張ってください。
どうぞ、皆さん今年一年中お元気で。ありがとうございました。

☆メウンボラボン・センスリヤン(ラオス)

新年おめでとうございます。
皆さん、こんにちは。私は、前には、日本の平塚盲学校で、マッサージを勉強し
ました。その時は、日本語が下手なので、勉強するのが大変でした。しかし、先
生方は非常にやさしく教えてくださいました。
ラオスに帰ってから、私はビエンチャンにマッサージのクリニックを開きながら、
盲学校でラオス語の点字を教えて、ほかには自分のマッサージのクリニックで、
日本人の先生から鍼を教えていただきました。それは、柴田泰平という先生です。
ラオスの北のほうに、ルアン・プラバン県というところがあります。そこには世
界遺産があります。非常にきれいで有名なところです。だから外国の方々が、よ
く旅行にいらっしゃいます。ルアン・プラバン県には特殊教育学校があります。
そこには聾学校もあります。2017年の2月から、盲学校も開きます。
盲学校を開くまでに、いろいろなことを、準備をしなければならないので、どん
なことを準備したらいいのか、目の見えない生徒のためにどんな道具が必要なの
か、先生たちは詳しく知らないので、私は2016年11月20日にビエンチャ
ンからこの特殊学校に引っ越して、この盲学校で先生として働きます。この学校
は北のほうの特殊教育学校です。
今は、点字版、白杖、タイプライターもありませんので、皆さん、私たちを助け
てください。お願いいたします。
以上です。

☆ダムディンツェレン・ニャマフー(モンゴル)

皆さん、あけましておめでとうございます。大変ご無沙汰しております。新年が
みなさまにとって、健康でお幸せな年になりますように、心から願っています。
まず今は、モンゴルはマイナス30度です。外はとても寒くて大変です。私の赤
ちゃんが来月3歳になりますのでとても元気で、私はすごく疲れてます。
マッサージの学校では、週に1?2回ぐらいですが、明日は実技試験があります
ので、ちょっとハードに働きます。
皆さん、お元気で頑張ってください。

☆サヌッティ・マリア・ゴレティ(インドネシア)

皆さん、こんにちは。新年、あけましておめでとうございます。
インドネシアのフローレス島から参りました。今は、メダンと言う町で、スマト
ラ島の北のほうで仕事をしています。マッサージと指圧の仕事をしています。カ
トリックの学校で教えています。
ここスマトラで、3年間ぐらい仕事をします。
3年が終わったら、私はまたフローレス島に戻ります。予定は、視覚障害者にマ
ッサージを教えるか、治療院を始めることになると思います。
日本語を話すチャンスがないです。かなり口が重くなっています。また、よろし
くお願いします。

☆タン・リー・メイ(マレーシア)

皆さん、こんにちは。新年、あけましておめでとうございます。今年もよろしく
お願いします。
2008年9月に日本に行って、2009年に筑波盲学校に入りました。201
2年に三療の国家資格に無事に合格して、マレーシアに帰って、仕事をしていま
す。
今はマッサージをしています。帰ってから、もう4年ちょっとになり、治療院で
勤めています。
それ以外では、スポーツをやって、最近新しいことでは、タンデム自転車に乗り
ます。毎週一回練習があって、それをしています。それ以外に、自分の家でちょ
っと個人治療もやっています。
皆さん、クアラルンプールに来る機会があったら、ぜひ私の勤めているところに
来てください。
どうも、ありがとうございます

☆オ・テミン(韓国)

こんにちは、韓国から1990年に留学しました。私は文京盲学校を卒業しても
う二十数年になりますが、今は韓国に帰ってきて、中途失明の人にマッサージの
勉強を教えています。
日本に留学に来ている皆さんは、勉強などでいろいろ大変だと思いますが、一生
懸命頑張って新しい技術を覚えて、実力をつけて帰っていただきたいと思います。
今年始まったばかりですが、皆さん、体を大事にして、また実りある一年をお過
ごしください。
今年もよろしくお願いします。

☆リー・イェンイェン(中国)

皆さん、新年あけましておめでとうございます。
1995年2月に日本に来ました。八王子盲学校で勉強しました。3年後、日本
の三療師の免許を持って、アメリカに行ってカイロと理学療法を勉強しました。
2006年にアメリカの国家試験を通って、カイロ医師の免許を持って、理学療
法士の免許を持って、中国に帰ってきました。
今もカイロと三療、理学療法の仕事をしています。けっこう良い仕事です。もう
結婚もしました。2人の子供がいます。
いま日本で勉強している留学生、頑張ってください。
(編集担当より:1月15日に開催された新年会で、7人のIAVI各国連絡員と中
国のリーさんからの音声メッセージをご紹介しましたが、本稿はそれを文字化し
たものです。)

◎初めて中国の地方の特殊教育学校へ◎
                        事務局員 庄 麗
 2016年11月末、安徽省にある「安慶市特殊教育学校」を訪問しました。
上海行きの飛行機に乗り、上海から高速鉄道で4時間くらいかけて安慶市につき
ました。この特殊教育学校では、視覚障害の学生と聴覚障害者学生が共に学んで
います。今回は、視覚障害の学生に、日本の視覚障害者の生活についてお話しま
した。1時間半ばかりの時間でしたが、学生さんたちと先生方、80名くらいの
方々は、真剣に話を聞いてくださり、物珍しそうに解剖学の触察図、ブラインド
テニスのボールや囲碁の碁盤と碁石などを触ったりしていました。
 当日案内してくださったのは、ロ先生という全盲の先生でした。ロ先生は、1
986年にこの学校に就職したそうです。数年の研修を終えて、1990年から
教壇に立ち続けていらっしゃいます。ロ先生によると、全校の教員は61名、視
覚障害者学部の教員は18名、そのうちの5名は全盲の先生です。視覚障害学生
の人数は、小学部から専攻科按摩マッサージクラスまでで105名です。そして、
10数年前から、毎年の学校の夏休みを利用して、安徽省在住の視覚障害者を対
象に按摩マッサージ職業訓練クラスを開いているようです。毎年40名から50
名くらいの方が来ているようです。
 校舎は、5階建てのコンクリートの建物です。教室や会議室などを見学させて
いただきました。一番驚いたのは、点字電子図書室でした。実際に触ってはいな
いですが、パソコン30台と点字ディスプレー30台を備えているようです。そ
して、この冬休みが終わってから、建物の5階で、バリアフリー映画鑑賞室の工
事が始まりますとのこと。
 私は、中国の盲学校は、上海の盲学校しか行ったことがありませんでした。今
回の訪問は、初めて中国の地方の盲学校に行きました。もちろん地方によっては、
盲学校の様子は全然違うと推測できますが、とにかく今回の安慶市特殊教育学校
の教育設備に驚きました。ただし、これらのハードウェアの稼働率などのことも
気になりますが、ひとまず少し嬉しい気持ちになりました。
 上海に帰る度に、お世話になっている上海盲学校の校長先生にご挨拶の電話を
入れています。電話の中で安慶市での講演の話をしたところ、「うちの方でもお
話をしてくれませんか」という突然の依頼をいただきましたので、なんとかスケ
ジュールを調整したところ、伺うことができました。当日は中学部から職業訓練
部までの学生さん100名以上の方が集まりました。質疑応答時間の時、学生さ
んや学校の先生方からたくさんの質問がありました。日本の視覚障害者の職業や
就職活動のこと、盲導犬のこと、地下鉄などの交通機関のこと。お話を聞いてく
ださった方々は海外の視覚障害者の生活については、やはりとても興味を持って
いるように感じました。
 今後機会がありましたら、また中国の地方のいろいろな特殊教育学校に行き、
会員の皆様に少しでも情報を提供できたらと思っています。

◎IAVI企画:連続講演会 第6期・第3回◎
<見えなくてもヨガを楽しもう、一緒に体験しましよう>
 無理なく体を動かして健康になりたい。こんな声を良く聞きます。
「ヨガをやってみたい」という方も多いと思います。でもなかなか体験する機会
がありません。援護協会でそれができますよ。留学生の皆さんとぜひやってみま
しょう。
  日時:2017年3月11日(土) 13時30分?16時
  場所:国際視覚障害者援護協会「舟橋記念会館」3F多目的室
  講師:高平 千世氏
  (NPO法人日本カルチャーヨガ協会チャレンジド・ヨガ?視覚障がいの方のヨガ?プロジェクトリーダー兼ヨガ・インストラクター)

  費用:無料(動きやすい服装でお願いします)
  申し込み:電話03?5392?4002/ e-mail: info@iavi.jp
  主催:社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会
  協賛:社会福祉法人 板橋区社会福祉協議会                               
            

◎卒業・入学をお祝いする会◎
 4月からの新たなステップへむけて留学生たちはそれぞれ懸命にがんばっていま
す。桜の咲く頃、みんな笑顔で新しい環境への準備をしていることと思います。
支えていただいた多くの皆様方と、楽しく交流しながら、卒業・進学をお祝いし
ましょう。軽食をご用意します。また留学生のお国自慢の一品を用意してもらい
ます。お楽しみに。
  日時:3月25日(土)12時?14時
  場所:国際視覚障害者援護協会「舟橋記念会館」3F多目的室
  会費:1,000円
  申し込み:3月21日までに事務局までメールか電話でご連絡ください。
  電話:03?5392?4002/メール:info@iavi.jp  

◎編集後記◎
 今年の新年会は近くの地域センターで。大きな部屋に8グループに分かれて座り、
飲み物、触る絵の体験、いつものイベント展示コーナーなど。席を離れて色々な
ことができました。留学生の歌や彼らの企画したゲームなど、ワイワイと楽しく
開催。参加くださった全員が、これからの交流のきっかけを作っていただいたこ
とと思います。準備や片付けにお手伝いくださった皆さん、ありがとうございま
した。
会館の隣の惣菜屋のおじさんが37年間のお店を畳む。「留学生は何人いるの」
とポテトサラダや大学芋をくれました。会議の時はおじさんのお弁当。感謝をこ
めて新年会にお誘いしました。おじさんのギター演奏と歌に皆さん喝采。いつま
でもお元気で、私たちを見守ってください。

= 業務日誌 =
12月11日 シリンさん、冬休みホームステイ先の下見(本庄)。
12月12日 コーコーさん眼科検診。バヤルさんにWBUAPオーツキ賞の賞品授与。
       ツェーネさん来日、舟橋記念会館に宿泊(?21日)。
12月13日 東京日本語教育C、太田さん・水野さん・秦さん来館。
12月15日 『ロータス通信』第277号を発送。
       おたがいさまネット月例会に留学生3人と参加。
12月16日 筑波盲、留学生担任の先生方と情報交換会。
12月17日 バヤルさん、筑波技大を受験。
       一枝のゆめ財団発起人会に参加。
12月19日 ガンゾリグさん、再来日。
12月20日 コーコーさんの受験相談で埼玉盲を訪問。
12月21日 畑さん来館、事務手伝い。IAVI臨時理事・評議員会。
12月22日 筑波盲留学生3人、冬休みで来館・宿泊(?1月10日)。
       シリンさん、本庄へ移動(?1月10日)。
       ツェーネさん、富士見マッサージへ移動(?1月9日)。
12月25日 バヤルさん・コーコーさん浅草散歩、ハンドベル鑑賞。
12月26日 バヤルさん、筑波技大結果発表(合格)。
12月28日 IAVI事務所、仕事納め。
12月29日 両国モンゴルレストランでバヤルさんの合格祝い。
12月31日 ガンゾリグさん・マンダハさん来館。年越し祝い。
1月 3日  高尾山初詣で(弱問研の皆さんほかと合同で)。
1月 4日  IAVI事務所仕事始め。松田さん来館、卒後事務。
1月 5日  コーコーさんと神奈川県視覚障害者福祉協会を訪問。
1月 6日  ヨフィタさん、来館・宿泊(?1月9日)。
1月 7日  一枝のゆめ財団、打ち合わせ。
1月 9日  ヨフィタさん、シリンさん・ジャサンさんの移動介助。
1月11日  新年会会場下見(清水地域C)。
1月12日  コーコーさん、ホームステイ予定先下見(鵠沼)。
1月14日  一枝のゆめ財団設立総会に参加。
1月15日  清水地域CでIAVI新年会を開催(50名参加)。
1月16日  平塚盲訪問(願書提出、学内見学等)。
1月19日  板橋区視覚障害者福祉協会新年会に参加。
1月20日  ツェーネさん、教育相談で福岡高等盲を訪問。
1月22日  卒後鍼灸手技研究会の事務を担当。
2月 3日  コーコーさん、平塚盲を受験。



社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会(IAVI):https://iavi.jp/

〒174-0052 東京都板橋区蓮沼町20-18

電車でお越しの方:
都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅下車
「A1」出口を右に出て一つ目の信号を右に曲がり、右手3軒目。徒歩3分。

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