NO.266

      2024/02/27

ロータス通信 NO.266 2015年2月14日発行

ご寄付をありがとうございました
       本年もよろしくお願いします

理事長 石渡 博明
 本誌前号では、例年のように年末のご寄付を呼びかけさせていただきましたが、
厳しい経済状態にもかかわらず、多くの方々からご寄付を賜り、誠にありがとう
ございました。
また、新年会にご参加くださった会員の方からは、新年会の模様とIAVIの活動を
お友達にご紹介くださったことで、お友達が会員になってくださる旨のご連絡を
いただきました。一人一人の小さな働きかけで、IAVIの裾野が広がっていくさま
が実感できる、嬉しいお便りでした。

  新年会にはキルギス大使館のチムール参事官がご出席くださるというハプニ
ングがあり、昨秋、留学生との交流会を開いてくださった柏市視覚障害者協会の
皆さんも多数お出でくださいました。この他にも、日本の地で頑張っている留学
生を励ましてくださる集いがいくつもあります。留学生の頑張りに日本人も励ま
されているようです。
今年も引き続き、留学生へのご支援をよろしくお願い致します。

ベトナムの視覚障害者
グエン・ダン・コア 
(筑波大学附属視覚特別支援学校・鍼灸手技療法科)

ベトナム、ホーチミン出身。子供の時は、小学校から高校2年まで一般学校に通
学。16歳の時から徐々に視力が低下、眼科に行き治療を受けはじめ、投薬、鍼治
療も受けたが。急に見えなくなったわけではないので、さびしい気持ちはなかっ
た。医師はお手上げだと言った。仕方がないですね。
19歳で盲学校に行き、初めてベトナム語の点字を習った。点字を習得したのち、
コンピューター、音楽を勉強し、歩行訓練も受けた。あんまり上手じゃなかった
...。それからマッサージと日本のあん摩を習い、22歳で盲学校を卒業。マッサー
ジの店を立ち上げたが、1年でたたむ。お金がなかったから(儲からなかったか
ら?)その後、マッサージをしながら日本語の勉強を始める。国際視覚障害者援
護協会の面接試験に合格して来日。6か月の研修を受けて、筑波盲学校に入学し
た。
本題に入ります。昔のベトナムでは、盲学校は18歳までで、毎月お金を払わなけ
れば勉強できなかった。19歳以上の視覚障害者、田舎の視覚障害者、お金のない
視覚障害者は盲学校には入れなかった。多くの盲人が家にいて、仕事をしない人
もいて、マッサージ、ほうきをつくる仕事をする人もいた。盲学校に行けない人
は、友達に点字を習ったりしていた。
現在は、盲学校以外にも、いろいろな視覚障害者協会ができて、誰でも勉強でき
るようになった。盲学校や盲人協会で勉強して仕事をして、社会に出て仕事がで
きるようになった。大部分はマッサージの仕事をしたり、盲学校の先生になる人
もいる。最近は大学に行く人も出て、音楽やコンピューターを教えたり、一般の
会社で働く人も出ている。毎日大変だが生活は何とかできるようになっている。
ベトナムでは多くの視覚障害者が、日本のあん摩や鍼灸を勉強したいと言ってい
るが、ホーチミン市には鍼灸科はない。だから私は、日本であん摩と鍼灸を勉強
して、国に帰って教えてあげたい。偉いですね(笑い)。偉いけど、できるかど
うかわかりません。でも頑張ります。
(この原稿は、11月29日に開催された柏市視覚障碍者協会との交流会でのコアさ
んの発表を文字にしたものです。)

「障害者・高齢者に配慮したデザイン」に
IAVIとして協力
                    芳賀裕子(埼玉県在住 会員)
日本では、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催が決まり、障害者・高
齢者に配慮した「アクセシブルデザイン」の取組みと実施が、待ったなしとなっ
ています。それは日本だけの視点ではなく、広く国際的に通用する視点でなくて
はなりません。その意味で、国際視覚障害者援護協会としてこのような活動に参
加することは、大変意義があることですし、留学生の経験を貴重なものとして活
用できる機会ともなります。そこでできる範囲で協力していくことになりました。
昨年末から今年初めにかけて、2つのプロジェクトに参加・協力しましたので、
その報告をします。
1.コンビニエンスストアの良かったことアンケート調査
昨年から1年間の期間で、公益財団法人共用品推進機構が行っているこの事業に、
委員会委員としてIAVIが参加しています。調査票の質問項目作成の段階から関わ
り、実際のアンケート調査には留学生・元留学生6名(ヨフィタさん、コアさん、
シリンさん、ニャさん、ツェーネさん、庄さん)、IAVI会員をはじめとする日本
の視覚障害者25名が回答してくださいました。貴重な生の声がたくさん届きまし
た。厚く御礼申し上げます。
留学生には、聞き取りというかたちで調査に協力してもらいました。とても興味
深いコメントが寄せられました。一部ご紹介します。
・日本では店員が接客を仕事としてきちんと行っていることが素晴らし い。自
分の国ではお金の受け渡しだけを仕事だと思っている。
・日本ではどこのコンビニでも店員さんが親切にしてくれて、はずれがない。会
社の決まりになっているのかなと思った。自分の国ではお店や場所によって対応
が全然違う。
・コンビニは高いのであまり使わない。
「店員さんの接客」が大変高い評価を得ていることなど、日本では当たり前すぎ
て全く気にもしていない点を指摘してもらえたことは、この調査の質を高めるこ
ととなるのではないでしょうか。このアンケート調査は、今年末までに報告書に
まとめられ、様々なところで活用されることになっています。

2.羽田空港国際線ターミナルビルユニバーサルデザイン実地検証
羽田空港国際線ビルは、設計当時から障害者や高齢者のユーザーも参加して、
「ユニバーサルデザイン」を取り入れており、2年に一度その検証を行うことを
ルール化している。その検証にIAVIとして参加し、空港をよく利用する留学生の
フザイファさん(マレーシア)に協力してもらった。実際に羽田国際線ビルを利
用しての感想を寄せてもらい、それを芳賀がまとめて二人で確認し、検討会の席
上でコメントをした。コメント内容は次の通り。
(※はグループワークでフィードバックされたコメント。)
・空港はとても広いので、点字ブロックを使って、一人で移動するのはとても難
しい。だから、係員が案内してくれるサービスは、必要だし、とても良い。
・搭乗ゲート番号など、サインが見えないので、係員が案内してくれるのはとて
も良い。
※「公共交通機関から誘導ブロックでインフォメーションカウンターに誘導し、
そこからは職員が案内する」という空港ビルのコンセプトがある。これら二つの
コメントは、このコンセプトが評価されたもので大変嬉しい。
・空港の駅にホームドアがあるのは、安全でよい。マレーシアにはない。
・国際線ターミナルなのに、英語でのコミュニケーションが難しいので困る。日
本語がわかる自分はいいけれど、国際なので英語でコミュニケーションができる
ようにしてほしい。イミグレーションの係官、頑張ってほしい。
※空港ビルのインフォメーション係員は、英語ができることが採用の条件となっ
ている。イミグレーションの係官については外務省管轄なので、空港ビルとして
は対応できない。
障害者施策が大きく変わる時代の流れの中、多くの委員会や調査が行われており、
当事者団体の参加が強く求められています。できるだけ効率的に多くの「生の声」
を拾い上げることが急務となっているからです。今後もIAVIの特色を生かして、
どんどんこのようなことに参加していきたいと考えています。(芳賀さんにはIA
VIとして各種委員会に参加していただいています。)


李雁雁さんの故郷

先月号で報告しました中国の李雁雁(リ・イェンイェン)さんとSkypeで話せる
ようになりました。彼の住む安徽省池州市は風光明美なので、ぜひ日本やその他
の国から視覚障害者に来てもらい、楽しいイベントをしたいとのことです。もち
ろんマッサージの交流もしたいとのことでした。楽しいイベントというのは、二
人乗り自転車をみんなで楽しみたいと言っていました。
安徽省池州市の人口は160万人、視覚障害者は1万3千人です。働いている人はわ
ずか30人程度で、マッサージ治療院が17件、占いをする人が5人。以前は国の
福祉工場があり、そこで働いていた人達が年金をもらっていたが、今はその工場
はないようです。ほとんどが働かないで、家族に養われています。1年に800元=
13000円程度が国から障害者に支給されるそうだが、とても暮らせるお金ではな
く、一人で経済的に自立とはほど遠い状況のようです。
安徽省の状況や、中国での視覚障害者の理療の現状などについては彼のレポート
を待ちたいと思います。           (編集担当 新井)


◎お知らせ◎

その1:連続講演会 3月21日(土)

  日本とアジアの視覚障害者事情  第4期・第3回 

今年度の第3回目は、日本の理療についてしっかりと考えていきたいと思います。
?なぜ理療の仕事が日本でこれだけ一般化したのか。?日本の理療の仕事の現状
はどうか。留学生のみなさんとともに学んでいきます。
そして、各国で視覚障害者が理療の仕事で自立していくための課題は何なのか、
考えていく契機にしていきたいと思います。
テーマ:「日本の理療の仕事を考える」
日時:2015年3月21日(土) 13時30分?16時
講師:藤井 亮輔 氏 筑波技術大学准教授 当会理事
場所:国際視覚障害者援護協会「舟橋会館」3F 多目的室
  (板橋区蓮沼町20-18 都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅A1出口下車徒
歩3分)
定員:30名(定員になり次第締め切ります。お申し込みは、お電話またはe-ma
ilにてお願いします)                    
連絡先:03-5392-4002/ e-mail:info@iavi.jp
会費:無料
主催:社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会
後援:社会福祉法人 板橋区社会福祉協議会


その2:歓送会  3月28日(土)

次のステップに旅立っていく留学生を、楽しく交流しながら、みんなで励まして
送り出しましょう。留学生の手作り料理もありますよ。
日時:3月28日(土)11時?14時
場所:国際視覚障害者援護協会「舟橋会館」3F 多目的室
会費:1000円(軽食をご用意します)
お申し込み:電話かメールで3月23日までにお願いいたします。
連絡先:03-5392-4002/ e-mail:info@iavi.jp です。

その3:4月中旬 中国語学習サポート講座を始めます
中国語の学習で多くの方が挫折するのは発音です。
そこで、中国語を学習する方のために、発音の練習を中心とする中国語学習サポ
ート講座を企画しました。
興味のある方は、是非当協会に電話やメールでお問い合わせください。
開講日:毎週水曜日 午前 または 午後 1時間程度の予定
※具体的な日程は受講者にお知らせします。少人数制のため、希望者が多い場合
は、開催日を増やす予定です。
受講料:1回当たり500円
講 師:庄 麗(IAVI中国人職員 視覚障害)
その他:テキストとしてNHKラジオ講座「まいにち中国語」を使用する予定で
す。テキストは各自御購入ください。視覚障害者の場合は、サピエ掲載のテキス
トの点字データを利用できます。

= 業務日誌 =
12月18日 『ロータス通信』第265号発送作業。
       おたがいさまネット月例会に参加。
12月19日 山口さん、日本文化の授業開始(隔週木曜日午後)。
       フザイファさん、帰国(?1月7日)。
12月20日 ツェーネさん、スイェンさん上京、宿泊。
       筑波盲の留学生、来館・宿泊(?1月6日)。
12月22日 共用品推進機構、取扱い説明書のインタビュー実施。
12月23日 ニャさん、帰国(?1月5日)。
12月24日 ニッポン放送チャリティ番組に出演(FMラジオ収録)。
12月26日 コンテさん、筑波技大入試に合格の発表。
 1月 3日 横浜探訪(留学生5名、日本人6名参加)。
 1月 5日 イ・ナヨンさん来館、打ち合わせ。
ニャさん来館、帰国報告。
 1月 9日 西村さん、パソコン授業開始(金曜午後、3回)。
 1月11日 IAVI新年会(ベトナム・ガーデンにて。61名参加)。
 1月14日 宮坂さん、ピアノレッスン開始(水曜午後)。
 1月15日 おたがいさまネット月例会に参加。
 1月17日 日韓視覚障害教師の会、第2回親善交流会に出席。
       日盲社協書籍編集委員会、編集会議に出席。
       竹内昌彦先生、来館・懇談。山陽放送の取材。
 1月19日 山陽放送、授業風景取材(2月18日放映)。
       板橋視覚障害者福祉協会の新年会に出席。
 1月25日 卒後鍼灸研究会の事務局業務を担当。
 2月 4日 IAVI臨時理事・評議員会。
 2月 5日 筑波盲の在学生について教育相談。



社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会(IAVI):https://iavi.jp/

〒174-0052 東京都板橋区蓮沼町20-18

電車でお越しの方:
都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅下車
「A1」出口を右に出て一つ目の信号を右に曲がり、右手3軒目。徒歩3分。

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