NO.264

      2024/02/27

ロータス通信264号

新しい留学生が来日しました、
       事務局体制が変更になります。

                                   理事長 石渡 博明
 
本誌前号でも簡単にご紹介しました今年度の留学生候補、キルギスの
ヌルディノワ・アクムールさん(26歳、女性)が、去る10月5日、成田に
到着、3年半後の卒業、国家試験合格を目指して、舟橋会館での6ヶ月の事前
研修がスタートしました。
 ところで、この9月末で、これまで事務局の一角を支えてきてくれた
篠田佐知子さんが定年退職されました。長い間、ご苦労様でした。
ありがとうございます。後任は、財政逼迫の折からフルタイムの雇用ができず、
元中国留学生の庄麗さんに週3回、パートで来ていただきます。
また、卒後鍼灸手技研究会から受託している業務は元職員で元担当者であった
松田信治さんにお願いし、あとは、豊田宗周さん、芳賀優子さん、畑千尋さんの
ボランタリーなお手伝いに期待して、何とか窮状を乗り切っていけたらと思っています。
従来に増して、ご理解、ご支援のほどをよろしくお願いいたします。

◎9月6日連続講演会報告◎

熱気に満ちた会場 これからのステップに 
      
9月6日(土)、連続講演会「日本とアジアの視覚障害者事情」第4期第1回が
行われました。
工藤正一氏(NPO法人タートル=中途視覚障害者の復職を考える会)のお話しと、
留学生の皆さんの報告に、充実した時間をみんなで共有することができました。
中途の視覚障害者が働き続けるために大切なこと、どんな支援が求められるのか、
みんなで考えることができました。
留学生の皆さんの自国の視覚障害者事情の報告は、キルギス、インドネシア、
マレーシア、ミャンマーと、それぞれ夏休みに帰国した際に、施設を訪問したり、
関係機関に問い合わせて調べたりと、しっかりと準備されていて興味深い、
内容あるものでした。
今回の講演会は大変欲張りな内容でしたし、留学生の皆さんも緊張の中での発表で、
疲れたことと思います。しかし、以下のような点でこれからのステップアップに
なることも確認していきたいと思います。
1 日本の視覚障害者事情を当事者のお話から、きちんと知っていく。
2  留学生一人一人が自国の視覚障害者の状況に問題意識を持つ。
3 調べたことを人の前で発表することに慣れていく。
4 留学生は日本で学び、体験した内容を帰国後の自分の活動にどう
生かしていくのかを常に考えていく。
5 以上のことを援護協会支援者の皆様ときちんと共有していく。
援護協会としては、今回の留学生の各国事情の発表を重要な基礎資料として、
帰国留学生先輩との連絡も取りながら、今後も引き続きレポートを作り上げて
いきたいと思います。統計的にまとめられたデータだけでなく、 
当事者の身をもって感じたことを大切にしながらのレポートを作り上げる
ことは、私たちだからこそできるものと思います。現役留学生と、帰国した
元留学生と、共同の作業を進めていきたいと思います。今回は、ミャンマーの
報告とそれに対して補足説明してくださった塩崎先生に、改めて文章に起こして
いただいた内容を掲載させていただきます。また、参加していただいた方からの
感想を掲載します。
なお、キルギス、インドネシア、マレーシアの報告は紙面の関係で次号に
させていただきます。

発表 ミャンマーの視覚障害者
                                   カウンテット・サン 
(筑波大学附属視覚特別支援学校 鍼灸手技療法科3年)
コンテです。調べたことを発表します。
ミャンマーの人口は、5300万くらいです。女性の割合が多い。障害者が
どれくらいいるかはっきりしていない。正確な数はないが、WHOで予想されるのが、
人口の10%から12%。視覚障害者は5から6%です。肢体障害の人が多い。
多い順に肢体障害、視覚障害、聴覚障害、知的障害です。
視覚障害の原因について、子供の時に目が悪い人が多い。生まれつき目が悪い人の
割合は少ない。ビタミン不足、衛生面の状況、医療が行き届いていないのが理由。
中途視覚障害の方はまだそんなに多くない。
盲学校は9校ある。
すべての視覚障害者が盲学校で勉強できているわけではない。学校に来て勉強して
いる率が少ない。盲学校は2つが政府によって、7つが支援で建てられているので、
そんなに多くの人が入れない。
仕事に関して、昔は、物を作って売る仕事が多かった。最近は、日本やマレーシアと
同じように、按摩、マッサージで仕事する人が多い。マッサージはたくさんお金が
もらえるので、人気がある。
訪問商売が多い、勉強もできないし、マッサージもできない人が行う。
仏教の国だから、話はできるから、占い師の仕事もある。割合は少ないが。
中途で見えない人に対してのリハビリは何もできていない。
日本でのリハビリテーションはない。
理由は、ある程度見えなければ盲学校に行かない、ある程度見えなければ助けて
くださいとは言わない。障害者であることを知られたくないという考えが強い。
大人になってからの人は学校の規則も守れない人が多く学校も断る。
ただ、盲人協会が、来年あたりから中途の人を支援するようである。
リハビリのための歩行訓練は、安全な場所がないのが問題。
点字は、盲学校でも、点字できる先生がほとんどいない。
勉強して学校の先生になるより、按摩して働くという方が多い。

ミャンマーのマッサージの資格制度について
                                         塩崎 真也
福岡高等視覚特別支援学校の塩崎です。
マッサージの資格制度について質問が出ていましたので、少し補足説明をさせて
いただいてもよろしいですか。
コンテさん、ご苦労様でした、一生懸命説明してくれました。2010年に
コンテさんに初めて会いまして、日本語の勉強をしたいから話をさせてくださいと、
当時ミャンマー駐在中だった私のところまで来まして、日本留学を目指して
ミャンマーですごく努力していたことが思い出されま す。今もう3年生と
いうことですね。
資格制度は少し難しかったかもしれませんが、コンテさんが言うように2010年
ごろまでは、盲学校ごとに実技中心のカリキュラム(3ヶ月コースから
2年コースまで学校により様々)があって、それぞれの学校のコースを終えたら
自動的に学校から認定証明書をもらえるようになっていました。
その後日本の支援も入りましてミャンマーの皆さんと何度も関係者ミーティングを
重ねて、2013年2月に初めてミャンマー政府社会福祉省と日本の方とが
協力して第1回「ミャンマー視覚障害者医療マッサージ師全国統一資格試験」と
いうものをヤンゴンのほうで試験的に実施しました。
これは、ヤンゴンで出会った私の教え子が各地方の盲学校へ帰ったのですが、
彼らが母校で教えた生徒達がヤンゴンに集合し、全国共通の同じ資格試験に
挑戦してもらうというスタイルで行いました。試験問題は、基礎医学・臨床医学等
からなる座学試験と実技試験から構成して、全て2011年に試験的に導入した
「ミャンマー盲学校医療マッサージ科全国標準教育カリキュラム」から出題しました。
そして、座学分野50点・実技分野50点、座学と実技の合計で60点以上が
合格と言う合否基準を作成して、合格者にはミャンマー政府社会福祉省より
「医療マッサージ師推薦証明書」を授与していただけることになりました。
ただ、ミャンマーの視覚障碍者にとってマッサージは、他業種に比べて月給が
格段に高いことから最近熱い視線が向けられるようになりましたが、長年
ミャンマーで言われてきた「基礎教育や大学進学の機会に恵まれなかった人が
やるのがマッサージ」と言うイメージがまだまだ残っているのも現実です。
そのようなこともあって、現在のところミャンマー政府としては、これまでの
各学校から出される認定証明書と2013年から新たに作られた全国共通の
医療マッサージ師推薦証明書を並立させて、当分の間はその両方を認めるという
方針を取っております。
私は、偶然にも2010年から3年間ミャンマーでお手伝いをする貴重な機会を
いただきましたが、2011年の新政府発足後、大変な勢いでたくさんの方々が
各国からミャンマーを訪れるようになりました。今後新たな国造りの中で、
マッサージがミャンマーに住む視覚障碍者にとって最善の職業となるよう更に
発展し、そして医療理論に基づく安心・安全な施術を提供できる施術者として
社会の一翼を担ってくれたらと願っています。

連続講演会に参加して     
               熊(くま)懐(だき) 敬(板橋区在住、中途視覚障害者)
工藤さんとはタートル等で旧知の間柄ですが、その話をじっくり聴く機会は少なく、
今回の話には改めて感銘を受けました。
   医者から病名を告げられたときの大きなショックもそこそこに、失明後に
備えて猛勉強、盲学校通学など、3年間の休職期間満了後にさらに研修扱いでの
リハビリ訓練を経て復職を果たしたとのこと。工藤さんの働き続けたいという
強い意欲とそのための情報武装、そして、何より平素から培われた職場の
上司・同僚等との信頼関係があってこその話だと思いました。
 留学生の皆さんの話も、大変興味深く聴かせていただきました。
流暢な日本語にもびっくりです。各国の障害者に対する福祉制度も着々と
進んではいるものの、その国の事情により多少差があることもわかりました。
アハキの資格を国家資格にする動きもあるとか、でも、国家資格になればなったで、
健常者の参入も増える懸念もあり、盲学校の認定証ぐらいがよいかもと、
ふと思いました。援護協会様のご苦労と成果がひしひしと伝わって来たひとときでした。

≪海外で安心して行けるマッサージ店の紹介≫
―元留学生にも会えます― モンゴル ウランバートル
 皆さんは、海外旅行で、疲れてマッサージを受けることはありませんか。もし、
そのお店が、日本で勉強した留学生が帰国して働いていたり、経営している
ところでしたら、どんなに楽しいでしょう。留学生も日本語が話せて、
きっと嬉しいことだと思います。                 
モンゴルの国家試験の資格も取ったニャマフーさんは、治療院を開設しました。
治療院名は、「Best Massage23」です。
所在地は、日本人が良く宿泊される「花ホテル」から、歩いて10分かからない
ところです。
住所:Bayanzurkh Duureg 1-R Khoroo sansar tuneli. Khurmen emiin sangin
 khajuud 22-R bair 6-R orts 85 toot.
Tel:11481-491
Mobile:9983-4445

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「モンゴルに来られたかたはこの住所で聞けばすぐわかると思いますね」ということです。
今、マッサージ師の募集をしているところだそうで、新しいコースから卒業された人を受けいれようと考えているようです。後輩の指導も大きな課題になるかと思いますね。
「日本人のお客さんが来られるために色々とやりたいと考えています」とのことでした。
とにかく、たくさんの日本人にも来てほしいものです。
「ロータス通信」読者の皆様はもちろんのこと、モンゴルにお出かけの方に
ぜひお勧めください。
モンゴルの旅の疲れを、ニャマフーさんの治療院で癒してみてはいかがですか。
   (ダムディンツェレン・ニャマフー 2012年7月帰国)

 

 

 

◎当面の諸活動のお知らせ◎

★連続講演会「日本とアジアの視覚障害者事情」第4期・第2回 
今年の第2回目は、?アメディア社長の望月優氏に講演していただきます。
望月氏は視覚障害者がコンピュータ関連企業を立ち上げた草分けの方で、
さまざまなチャレンジの中から限りない可能性を広げて活躍されています。
見えない中でどのように企業運営をしているのか、多くの示唆に富んだお話を
聞くことができると思います。

内容:「さまざまなチャレンジから見えてきたもの」

日時:2014年11月8日(土)13時30分?16時
講師:望月優氏 ?アメディア社長 
場所:国際視覚障害者援護協会「舟橋会館」3F 多目的室
 (板橋区蓮沼町20?18 都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅A1出口
下車徒歩3分)
定員:30名(定員になり次第締め切ります。お申し込みは、お電話または
 e-mailにてお願いします。
連絡先:03-5392-4002/ e-mail:info@iavi.jp
会費:無料
主催:社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会
後援:社会福祉法人 板橋区社会福祉協議会


★ 避難所開設・運営合同訓練(11月30日)
援護協会のすぐ近くに志村第三小があり、災害時の避難場所になっています。
前2回の避難訓練では、避難するときに地域の皆さんが援護協会に立ち寄って
くださり、留学生を手引きして避難するという訓練が行われました。 
今回は避難所に集まってからどのようにすればよいか、特に要援護者をどう
サポートしていくのか、という課題をみんなで考えて訓練します。そして援護協会
自身がこの防災訓練に積極的に参加して提案していくことが大切です
災害時にはどのような状況になるのか予想もつきませんが、とにかく訓練を
重ねていくことの大切さは誰もが語ることです。
  当日は、朝からの訓練となります。多くの皆さんと援護協会から防災訓練に
参加したいと思います。
ご参加いただける方は、援護協会事務局にご連絡ください。

★板橋区でのイベントに参加して、 
援護協会の活動紹介と物品販売を行います。
遊びに来て、援護協会のブースにお寄りください
会議用のテーブルを一つ出して、視覚障害者の製作品や、アジアの民芸品、
『イラストでわかる視覚障害者へのサポート』の本を販売します。あわせて、
援護協会のパンフレットを参加者のみなさんにお渡しします。そして私たちの
活動を一人一人のみなさんにお話しします。
お時間のある間だけでもお手伝いをお願いします。それぞれのイベントは、
楽しいイベント、役立つものなどがいっぱいです。ぜひ遊びに来ていただければと
思います。

★いたばし結(ゆい)まつりに出展
日時:11月1日?2日 10時?14時30分
ボランティア・交流・ネットワークがテーマ
講演会や模擬店もいっぱい。
場所:いたばし総合ボランティアセンター
(都営三田線板橋本町駅下車)

★第7回いたばし社会福祉大会に出展
  日時:11月13日(木) 12時?17時
いたばし社会福祉大会の会場ロビーで、障害者施設等の自主製作品を販売。
場所:板橋区立文化会館ロビー
(東武東上線大山駅または都営三田線板橋区役所前駅下車)

★26年度障がい者週間記念行事に出展
日時:12月6日(土)?7日(日) 10時?16時
手作り品の販売、講演会など
場所:いたばしグリーンホール
(都営三田線板橋区役所前駅または東武東上線大山駅下車) 

★「サイトワールド 2014」(11月1?3日)

シンポジウム「アジア地域における視覚障害者マッサージ師の実情とわが国の役割」
 11月3日(月)休日、午後1時30分からは援護協会の留学生が報告をします。
なお、サイトワールドは日本で最大の視覚障害者の支援機器などの展示会で、
あわせて講演会やシンポジウムが行われます。
1日から3日まで開催されますが、3日の午前中に留学生のみなさんと見学を
行います。ぜひご一緒しましょう。
サイトワールド2014 http://www.sight-world.com/
日時:午前10時?午後5時(最終日は午後4時まで)
場所:すみだ産業会館サンライズホール
    東京都墨田区江東橋 3-9-10 墨田区丸井共同開発ビル
(JR総武線・地下鉄半蔵門線錦糸町駅前 丸井錦糸町店8・9階)入場料:無料

★2015年度新年会のお知らせ
1月11日(日)11時?14時。
場所等、詳細は未定ですが、予定に入れておいてください。
次号で詳しいご案内をいたします。

◎ほんのご紹介◎
『イラストでわかる視覚障害者へのサポート』
  この一冊を手にして、改めて考えましょう
最近視覚障害者の外出に際して、信じられない事件が相次いで起こりました。
私たちはこの事件を決して見逃すことはできません。街で視覚障害者を
見かけたときどのようなサポートが望まれるのか、多くの方に知ってもらうため、
もっともっと発信していかねばならないと思います。
そのような意味で、ぜひこの本をお知り合いの方にお勧めください。
視覚障害者にかかわるボランティアやヘルパーをはじめ、教育福祉医療関係者、
さまざまなサービス業に携わる方など幅広い層に役立つ1冊です。たくさんの
イラストで分かりやすく説明されています。
プレゼントにもぜひご活用ください。
B5判、48ページ
定価:1,620円(税込)
★ご希望の方は国際視覚障害者援護協会までご連絡ください。

= 業務日誌 =
夏休みに帰国した留学生は9月2日までに全員元気に帰国。

8月18日 マレーシアのメイさんとスカイプで情報交換。
8月19日 スイェンさんを囲んでハノイ料理を楽しむ会。
8月21日 『ロータス通信』第263号、発送。
 おたがいさまネット、月例会に参加。9月18日も。
8月23日 いたばし結まつり実行委に参加。9月19日も。
       日盲社協出版部会に参加。
8月30日 JOCVキルギス元派遣員・石川さん、来館。
9月 3日 日本語講師事前打ち合わせ会議。
9月 6日 第11回連続講演会(講師:工藤さん)を実施。
9月 8日 東京入管で在留資格認定証明書を再申請。
9月13日 シリンさん、専門科目補習。9月20日も実施。
9月16日 日本盲人福祉委員会・近藤さん、来館。
9月19日 出光文化福祉財団・江端さん、来館。
9月27日 筑波留学生日本語補習再開。
9月28日 卒後鍼灸手技研究会の事務局を担当。
9月29日 今年度留学生受け入れに向け、大掃除。
9月30日 篠田さん、退職。
10月 1日 庄麗さん、勤務開始。
  ー5日 今年度留学生・アクムールさんの入国介助。
10月



社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会(IAVI):https://iavi.jp/

〒174-0052 東京都板橋区蓮沼町20-18

電車でお越しの方:
都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅下車
「A1」出口を右に出て一つ目の信号を右に曲がり、右手3軒目。徒歩3分。

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