NO.262

      2024/02/27

ロータス通信262号                                          2014年6月9日発行

援護協会(IAVI)の困難克服に向けて
ご支援をよろしくお願いします!

                                                    理事長 石渡 博明

 風薫る五月も過ぎて、暦の上では梅雨の季節ということになりますが、
昨今は天候も様変わりして、梅雨らしい梅雨ともだいぶご無沙汰といったところで
しょうか。ジメジメした梅雨がないのはありがたいことですが、不順な天候に
昔の梅雨らしい梅雨が懐かしいほどです。

 さて援護協会についてですが、去る5月19日に2013年度の決算評議員会・
理事会がありました。事業報告、決算報告の詳細につきましては、例年のように
次号に掲載させていただきますが、業務監査につきましてはたいへん厳しいものが
ありました。
 私も就任して5年目に入り、本誌239号の就任挨拶でお約束しました積年の
課題である盲学校とのお付き合い、巣立っていった留学生との関係再構築や在学中の
留学生へのフォロー・連携の強化、また対外的な発信強化による協会のプレゼンスを
高める点につきましては、それなりに改善ができてきたものの、事務局体制の整備・
充実に関しましてはとても十分と言えるような状態ではありません。
 そのため、前々号でも触れさせていただきました、協会設立40年を経る中で
痛感させられてきた留学生招聘事業がさしかかっている曲がり角の問題につきましても、
問題点―法的・社会的・財政的な基盤の脆弱さ―の指摘・確認はできたものの、
未だ解決へ向けた取り組みがほとんどできていません。
それと言いますのも、基本的には会員の拡大とそれに基づく累積赤字の解消が
ほとんど手つかずといった状態にあるからで、監事の方からは、業務監査報告書で
たいへん厳しいご指摘、というよりも落第点を頂戴するといった現状にあります。
 そうした意味で、会員ならびに本誌購読者の皆様におかれましては、
消費増税という厳しい状況は重々承知の上で誠に恐縮ですが、何とぞ会費や寄付金の
お振り込みだけではなく、一人が一人を、さらに一人をと、会員の拡大に
ご尽力くださいますよう、心よりお願い申し上げます。
 また、大口のご寄付や助成金がお願いできそうな個人・団体などをご存じの方が
いらっしゃいましたらば、ぜひとも事務局までご紹介ください。理事長として、
事務局として、すぐにもお願いに駆けつけます。足を運ぶのにやぶさかでは
ありませんので。  
   ノーマライゼーションや多文化共生といった掛け声とは裏腹に、日本社会の
閉塞感が深まる中で、援護協会の留学生招聘事業が困難に立ち至っている現実を
正面から見据え、克服していかなければなりませんが、一方、奨学生に応募してくる
個人や地域が増えてきていることも事実です。
そうした声に応えていくためにも、従来にも増してご支援・ご協力くださいますよう、
心よりお願い申し上げます。


≪さまざまなお便り≫

◎謝さんへのパソコンサポート、半年間の記録◎

                                              上田 喬子(視覚障碍者パソコンアシストネットワーク)

昨年9月から、元留学生で、現在台湾の盲学校で教鞭を取っていらっしゃる謝さんへの
パソコンサポートをさせていただいております。私の所属している、NPO法人
「視覚障碍者パソコン アシスト ネットワーク」では、十年ほど前からスカイプを
使って、移動が困難だったり、遠方に在住の視覚障碍者向けに、遠隔講習に
取り組んでいます。とはいえ、台湾と日本を結び、海外の方を対象にした実施は
初の試み。究極の遠隔サポートです。
謝さんは、台湾の視覚障碍教育の更なる発展を目指し、日本の理療や教育の現状を
学ばれたいと希望していらっしゃいます。そこで、まず、日本から最新の文献や資料を
送って読めるような環境を整えるために、日本語が表示・入力可能なパソコンの
使い方を習得することになりました。
今回の講習では、画面読み上げソフトPC-talker とマイクロソフト オフィス2007を
インストールした日本語仕様のパソコンを、現地に送りました。普段使っている現地の
パソコンでスカイプを繋ぎ、隣に日本語のパソコンを置いて、一緒に音声を聴きながら
講座を進めました。
初回の日、お互いに仕事を終えたとある平日の夜、スカイプを通して聞こえてきた
中国語の読み上げソフトの音声が、私にとってはとても新鮮でした。学校の教材作成や、
音楽を聴くなど、謝さんが日常的にパソコンを使っていらっしゃることが分かり、
まずはキーボードの配置や呼び方の違いを確認するところから始めました。
当初、私が日本語風に発音する「ウィンドウズキー」や「コントロールキー」が通じず、
「自分に近い列の、いちばん左がコントロールキーです」と、場所を説明し、謝さんが
「ああ、control ですね。」と、美しい発音で繰り返して納得するというやり取りが
いく度か続きました。同じウィンドウズOSという点で、2台のパソコンには共通項があり、
言語が違っていても、メニューの配列などはほぼ同様で、両者を比較しながら操作を
覚えて行きました。
私のカタカナ発音にも徐々に慣れ(ごめんなさい!!)、データを開いたり、ワードで
文書編集と保存を行ったり、インターネットでニュースを閲覧したりと一つずつ
出来ることが増え、今ではすっかり使いこなしていらっしゃいます。
元はパソコンサポートから始まりましたが、謝さんからは、台湾の文化や流行、言葉、
そして視覚障碍者の生活についてなどお聞かせいただき、私自身、とても刺激を
受けています。貴重な機会をいただけたことに感謝しております。
今は私が謝さんから中国語を教わる生徒です!

 ◎マッサージセミナーに参加して

                                                  新しい知識をもっと学びたい◎

                                                                          キティポン・ウェッチャモン(タイ)

援護協会のみなさん、こんにちは。タイのキティポンです。
今年5月5日から7日まで、WBU-AP第12回マッサージセミナーがタイのバンコクで
行われたため、私とセンターの職員とマッサージ師がこのセミナーに参加しました。
セミナーには、各国の盲人マッサージに関する情報や臨床発表やワークショップなどが
ありました。私たちマッサージ師にとっては、特にワークショップの部が参考になると
思います。
しかし、ワークショップの時にちょっとトラブルがありました。
参加者はほとんど目が悪いですので、先生の説明を聞いてすぐ理解できる人もいるし、
すぐ理解できない人もいると思います。先生の説明を聞いてから、そのやり方が
実際どういう風にやるかを、触らせてもらえると、もっとわかりやすくなったのですが
、残念ながら時間の制限もあるし参加者の人数も多いため、そのやり方をまだ
触らせてもらえない人が何人かいました。
また、各国のワークショップは同時に行う場合があったので、両方とも見たいと
思うのですが、できなかったですね。
このトラブルに対して、各ワークショップの時のビデオCDとその説明
(各国の言葉での説明)があればよいではないかと思います。
(原文はローマ字。1993年大阪市立盲学校卒業)

◎元気で頑張っています◎

                                                                   バトバヤル・エンフマンダハ(モンゴル)  

筑波大学附属視覚特別支援学校を卒業して、福岡高等盲学校の研修科で1年勉強して
4月に帰国したマンダハさんは、現在ウランバートルで盲人協会の訓練センターで
理療の先生をしながら、同協会のベストマッサージの一室を与えられて、治療のほうも
元気に頑張っています。午前と午後で、午前が教えるときは、午後は治療するという
ことですが、治療は夜9時までなので、午前9時から午後9時まで仕事ということです。
土日も治療が入れば仕事ということで、「忙しくて」と言っています。
東洋医学などを教えるときに、これをモンゴル語でどう言うのかと、教科書を
読み返しているようです。筋肉の名前などを、どういえば良いのか戸惑いもあるようです。
今は、6月の中旬の卒業に向けて特に忙しいようです。職場までは家から車でお母さんが
送ってくれているようです。
落ち着くまで大変でしょうが、若さとパワーでやり抜くことでしょう。
少し落ち着いたら、詳しい報告をご本人からしていただく予定です。海を越えて
みんなで応援しましょう。

★今年3月盲学校を卒業した3名の留学生からの卒業にあたっての
挨拶をもらいました。3人とも来年の国家試験に向けて、とにかく
1年頑張る決意でいます。どうか温かな声援をお願いいたします★
掲載が遅れて申し訳ありませんでした。(編集担当)

感謝の気持
                                        グエン・ティ・スイェン(ベトナム)

鍼灸、あんま・マッサージを勉強するために、2010年10月1日に日本に参りました。
国際視覚障害者援護協会(IAVI)で半年、日本語や生活の技能を勉強してから
筑波大学附属視覚特別支援学校の鍼灸科に入りました。
 日本に来る時は日本語で会話が全然できないし、日本の文化も分らないし、それで
さびしくて心配いたしました。また、半年日本語を勉強した後でも、学校の授業で先生の
話がほとんど分からなかったです。そして、もっとつまらなくなって勉強できないと
心配しました。しかし、先生たちは一生懸命補習をして、やさしい日本語で説明して
下さいました。また、IAVIのみなさんや寄宿舎の先生方や友達などはとても親切に
して下さって、コンサートや朗読劇や旅行やおいしい料理を食べるのなどに、誘って
連れて行って下さいました。一人で出かけるときでも、周りのみなさんや駅員さんたちも
きちんと手伝って下さいました。
おかげさまで、段々さびしいのと心配することは無くなって、安心して勉強および生活に
適応できて、楽しく過ごす事ができました。
日本での時間はとても速く過ぎて、もう3年間を過ごしました。みなさんのおかげで
鍼灸科を卒業いたしました。
色々ご協力下さった皆様に心から感謝いたします。
日本にいる時間をいつまでも忘れません。 

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民族服で卒業証書を胸にスイェンさん

 

感謝の気持

                                       ツェグミド・ツェンドスレン(モンゴル)

今から3年半前のことを思い出すと、そんなに長い時間ではないけれど、日本に来てから
色々貴重な体験をした日々を過ごしてきました。
日本に来て盲学校に入り卒業をするまでに、様々なチャレンジをしたけれど、もちろん
失敗も成功もありました。
けれど、どんな時でも支えてくれたIAVIの皆さん、平塚盲学校の先生方や寄宿舎の
仲間たちや、親身になってお世話をしてくれた先生方や、かゆいところまでに手が届く
ように至れり尽くせりして下さったホームステイの家族や、外出の道を案内してくれた
様々な皆様に心より深く感謝しております。
いつまでも忘れません。本当にお世話になりました。
どうもありがとうございました。

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ツェーネさん民族服で卒業証書を受領

 

深く感謝いたします

                             グエン・タイフォン・ニヤ(ベトナム)

なによりも時間のたつのは速かった。初めて、埼玉県立盲学校に受験をしに行った時、
私は下駄箱の場所も下駄箱と言うことばもわからなかったです。鈴木先生がご親切に
私の靴を置いた所を教えていただきました。その時、日本語もあまりわからないし、
自分もとても緊張したし、入学試験を受けさせてもらえるのかなとすごく不安でした。
だけど、学校の先生たちが応援してくださるおかげで、入学することができました。
初めてのオリエンテイションがまったくわからなかったです。授業の時、先生のお話の
言葉を聞き取れなかったし、寄宿舎の先生や友達などの会話が理解できなかったし、
ストレスがいっぱい溜まりました。あの頃、私は「頑張ります」と「大丈夫です」と
言う言葉しか言えなかったです。とても辛かったです。
そして、時間がたつにつれて、先生たちにいろいろなやり方と工夫をして教えて
いただきました。それで、私も辞書をひいたり、遅くまで頑張って勉強しました。
けれども専攻科の学習のことばが専門用語ばかりなので、辞書にはないものが多かったです。
それと、漢字もあまりわからなかったので、同じ発音で字が違う言葉によく引っかかりました。
とても苦労して勉学しました。
徐々に、私が埼玉県立盲学校の先生たちに育てていただいたおかげで、あん摩マッサージの
資格やきゅうの資格を取る事ができました。それだけではなく、せっかちな性格の私が
7年後、落ち着くようになりました。本当に助かりました。今回の特別なコースで教えて
いただきました。どうもありがとうございました。特に、乗松先生が長い長い間、私の
日常生活や将来の夢に、いろいろなアドバイスしてくださいました。
小関先生は後半のコース3年連続担任になっていただきました。それで、私の母親の立場で
いろいろな面倒を見ていただきました。本当にお二人の先生に深く感謝いたします。

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ニヤさん卒業証書を胸に                                            

 

 

 

 

≪お知らせ≫

連続講演会 「 日本とアジアの視覚障害者事情」第4期・第1回 

  日時:2014年9月6日(土)13時30分?15時30分
講師:工藤正一氏 NPO法人タートル副理事長
今年の第一回は、中途視覚障害者のリハビリテーションをテーマとします。日本で
増えている中途の視覚障害者のリハビリテーションの現状を知り、「見えなくても
働くために大切なこと」を考えましょう。
留学生のみなさんには、夏休みに帰国して自国の状況を調べてきてもらい、各国の
状況を比較しながら一緒に考えていきたいと思います。

≪編集後記≫

謝さんのサポートに続き、タイ、韓国の元留学生とのSkypeでのお話しや勉強が
進んでいますが、その韓国のユウ君(1998年3月平塚盲学校卒業、ソウル在住)から
日本語能力試験の1級(N1)を受けたいが、自分の使えそうな点字の資料は、
初級レベルはあるようだが韓国の国会図書館にもないので、何とかしてほしいとの
連絡がありました。
うれしいお話です。大変なチャレンジですが、きっと頑張ってくれると思います。
日本の私たちとの交流こそ、合格のカギになると思いますね。  
わが舟橋会館もだいぶ疲れてきています。冷暖房の設備がうまく作動しません。
GWは季節がら、何とか乗り切れたのですが、これからのことを考えると不安です。
他にも色々と設備的な問題がたくさんです。事務局では助成金等の申請などもして
いきますが、ぜひこの機会に、色々な情報提供とご支援をお願いいたします。
梅雨の季節の到来ですね。後1カ月もすると留学生達は夏休みで故郷へ。思いきり
羽を伸ばしながらも、国の視覚障害者の実態をしっかりと調べてきてください。
9月の講演会での報告をお土産に待っています(愛)

=業務日誌=

4月 1日 シリンさん日本語補習開始。
4月 3日 スイェンさん、病院・入管等引率。
4月 4日 元ウズベキスタンJICA専門員・大野純子さん来館。
4月 7日 ニャさん福岡へ引率。井上さん、塩崎さん夫妻と会食。
      スイェンさん・ツェーネさん、京都視障者センター
へ引率(清原さん同行)。
4月 8日 筑波附属盲入舎式・福岡高等盲入学式・京都視障者セン
ター説明会に出席。
NHK盲人の時間50周年記念レセプションに出席。
4月 9日 筑波附属盲入学式・京都視障者センター入所式に出席。
      卒後鍼灸手技研究会監査。
4月10日 スイェンさん病院引率(順天堂病院)。
4月12日 コアさん激励会。
4月14日 日盲委選挙プロジェクト研修会に参加。
4月15日 日本語講師反省会を開催。
4月16日 マンダハさん、『点字毎日』墨字版に記事掲載。
      板橋法人会第4支部総会に出席。
      マンダハさん、送別会を開催。
4月17日 マンダハさん、『西日本新聞』に記事掲載。
      『ロータス通信』261号墨字版、発送作業。
      留学生招聘事業見直し委員会(第1回)を開催。
4月18日 マンダハさん帰国、見送り。
4月20日 卒後鍼灸手技研究会14年度第1回研究会(事務局)。
4月21日 『ロータス通信』261号点字版、発送作業。
4月23日 「てんじの企画展」を見学。
4月25日 スイェンさん・ツェーネさん上京、入管事務介助。
      コンテさん、フザイファさん他、入管事務介助。
      スイェンさん板橋区役所、フザイファさん文京区役所。
4月26日 スイェンさん、病院引率(順天堂病院)。
      スイェンさん・ツェーネさん見送り。
4月29日 板橋ふれあい祭り実行委に参加。
      筑波附属盲を訪問、日本語支援について打ち合わせ。
5月 1日 筑波附属盲PTA総会に出席。
5月 2日 筑波附属盲留学生、寮母さん来館(?6日)。
      コンテさん病院引率(板橋セントラルクリニック)。
      風呂・水道故障、修理を頼むも連休後に延引。
5月 3日 箱根行き中止、日本語補習を実施(?5日)。
5月 4日 ハワリンバヤル(モンゴル春祭り)に参加。
5月 5日 舟橋会館で留学生懇親会を実施(留学生5名、李さん、
ティカさん、参加)。
5月 6日 筑波附属盲留学生、退館。
5月10日 シリンさん病院引率(太田内科クリニック)。
      シリンさん、コアさん、フザイファさん、日本語補習
      開始(筑波附属盲寄宿舎にて、毎週土曜日午後)。
5月11日 ヨフィタさん、教会関係者の手で日本語補習開始。
5月12日 筑波附属盲訪問、日本語支援打ち合わせ。
5月13日 2013年度業務・会計監査。
      コンテさん、フザイファさん入管、区役所事務介助。      
5月14日 筑波附属盲インドプロジェクト関係者7名来館。
5月15日 おたがいさまネットワーク月例会に参加。
5月17日 シリンさん荒川バラ市、フザイファさん池袋ジャズフェスに引率。
5月16日 東京都社会福祉法人研修会に参加。
5月19日 2013年度決算評議員会・理事会。
5月21日 ソンさんを河口湖町の治療院に訪問。
5月24日 シリンさん病院引率(太田内科クリニック)。
      元青年海外協力隊キルギス派遣講師・長谷川里子さん
      と会食。
5月25日 卒後鍼灸手技研究会14年度第2回研究会(事務局)。
5月27日 東京ガス、水道工事完了。
5月30日 東京新聞・横井さん来館。クンチャンさん、来館。 
6月 8日 第32回板橋ふれあい祭りに参加。    (以上)



社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会(IAVI):https://iavi.jp/

〒174-0052 東京都板橋区蓮沼町20-18

電車でお越しの方:
都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅下車
「A1」出口を右に出て一つ目の信号を右に曲がり、右手3軒目。徒歩3分。

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