NO249
2024/02/27
2012-4-11発行
桜の季節に
理事長 石渡 博明
何年ぶりかの厳しい寒さもようやく遠のき、遅ればせの桜の季節を
迎えることができましたが、皆さま方におかれましては、お元気でお過ごしでしょうか。
昨年10月に来日した留学生二人もようやく日本の生活になれ、4月9日の寄宿舎への入舎式、10日の筑波大学附属視覚特別支援学校の入学式を無事終えて、いよいよ新しい学校生活を始めることになりました。夢に向かっての二人の頑張りに期待したいところです。
また、この3月、マレーシアのメイさん、モンゴルのニャマフーさんの二人は、筑波大学附属視覚特別支援学校での3年間の学習を無事に終え、めでたく卒業ができました。
メイさんは4月に帰国、日本で習得した技術をもとに頑張ることになりました。モンゴルのニャマフーさんは目の治療もあって、当面、日本に残りますが、いずれご主人の待つモンゴルで活躍されることになります。
残る7人の留学生はいずれも無事に進級、それぞれのゴール目指して、今後1年の頑張りが期待されます。
これまで同様、皆さま方の暖かいご支援をお願いするものです。
元理事長
直居鐵先生のご冥福をお祈りします
去る2月29日、当協会の理事長を2001年7月から2008 年3月まで、6年半に亙ってお務めくださった直居鐵先生が、透析で入院中のところ、肺炎のため、厚生年金病院でお亡くなりになられました。享年85歳でした。
直居先生にはご高齢にもかかわらず、ご無理をお願いして理事長を
お引き受けいただいた経緯にありましたが、赤字補填のために何年も私財を投入してくださったり、留学生のために心を砕いてくださったりと、終始お世話になりっ放しで、それを思うと今でも心が痛みます。
3月4日、文京区の光善寺でご親族を中心に内々のご葬儀があり、援護協会からは職員の篠田佐知子が参列させていただきました。改めてご冥福をお祈りいたします。
3月31日、ご息女の鈴木妙子様がわざわざ舟橋会館までお出でくださり、ご丁寧なご挨拶とともにご寄付をいただきました。心より御礼申し上げます。
尚、来る5月12日(土)午後3時より、日本点字図書館3階、多目的室で「お別れ会」が開催されるとのことで、ご案内させていただきます。詳細につきましては、事務局までお問い合わせください。
≪卒業生からのご挨拶≫
「貴重な関係をいつまでも続けたい」
タン・リー・メイ(マレーシア)
みなさん、こんにちは。マレーシアから来ましたタン・リー・メイです。3月15日、筑波大学附属視覚特別支援学校高等部鍼灸手技療法科をおかげさまで無事に卒業しました。時間をふり返ってあっという間に3年半たちました。とても早く感じます。ついこの間日本に来たばかりと思いつつ、お別れする時が来てしまいました。
日本に来たばかりの頃、いろいろ寂しいことや不安など、心の中で思いながら、日々日本語と日本の文化を習い、その時家族と離れたり、日本語もあまり話せないのでとてもつらかったです。
それでもIAVIの人達がいつもいつも傍にいて、暖かい言葉で応援してくれて、だんだん自分が少しずつ乗り越えられるようになりました。そして入学式があって盲学校に入り、按摩、マッサージ、指圧、鍼灸を学び、その頃日本のことや日本語もすこしよくなり、たくさん友達と出会って、だんだん楽しくなってきました。勉強はとても難しかったですが、先生方やクラスメートがいつも私のことを親切にしてくれて、周りに恵まれてとてもよかったです
自分の中で一番大変だったのは、自分の勉強の仕方を見つけることで、わたしは1年ぐらいかかりました。その時も先生方や友達はあきらめずに助けてくれました。みんないつもお互いに頑張ろうね、と言う言葉は私の見方です。
私は日本にいる間に何ヵ所か遊びに行けました。たとえば印象に残っているのは広島で原爆の所に行って、高校生の時歴史の授業で学んだことを目の前で見られました。そして雪とスキーです。
マレーシアでは赤道に近い国なんです。季節は一年中夏です。雪なんか見たことがありません。二年前初めて雪を触った時すごくうれしかったです。夢みたいです。スキーも今年新潟で初めて体験しました。スキーはどんなものとか、どうやって遊ぶのか、初めてで、楽しくて、楽しくて、いい思い出になります。私は最初は10回以上ころびました。最後にやっとリフトに乗れてすべるようになりました。
日本には言葉で表現できないぐらいたくさんの思い出が胸にたまりました。
私は今後国に帰国して、向こうの視覚障害者のため按摩、マッサージの技術、そして知識を伝えたい。それと、日本で感じられたこと、日本の環境、日本の文化について話したいと思います。
最後にIAVIをいつも応援していただいた方々、本当にありがとうございました。感謝しています。みなさんがいつも私たち留学生の傍にいてくれて心強いです。どんな大変さがきても、どんな高く波が来ても、みんなで力を合わせれば、きっと乗り越えられます。
これからもこの貴重な関係をいつまでも続けたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。日本万歳!
「新しい道に向かって頑張って行きたい」
ダムディンツェレン・ニャマフー(モンゴル)
私は、2008年10月8日に日本に来て、国際視覚障害者援護協会のみなさんのおかげで、半年間日本語の勉強をして、日本の盲学校に入ることができました。
最初の頃は、日本語も大変難しくて、学校に入ったら勉強も大変だったけれど、いつのまにか三年間が過ぎて、学校を卒業することができました。
あっというまの三年間でしたが、視覚障害者だけれど、自信を持って、どんな社会でも自由に働けるための按摩マッサージや鍼灸の知識と、実技の教育を沢山勉強をさせて頂きました。
それだけではなく、日本の文化や習慣にもなれ、思い出がいっぱいの三年間でした。
日本で学んだことをもとにして、モンゴルの視覚障害者たちに自分のできることで力になりたいと思います。
IAVIのみなさんには、いろいろな国から来た私たち留学生のために休む時間もほとんどなく、私たちが悩むと一緒に悩んだり、嬉しいことがあったら一緒に喜んだりして、いくら大変でもあきらめずに心よりご支援なさって頂きましたことに感謝いっぱいです。
私も、これからの自分の新しい道に向かって頑張って行きたいと思いますので、宜しくお願い致します。
本当にありがとうございました。
≪半年の入学前研修を終えて≫
「皆様の愛情で」
カウンテット・サン(ミャンマー)
私は、日本へ来て半年になるところです。
皆様のおかげで、6ヶ月間という、長い時間を過ごすことができました。楽しいことも、大変だったこともたくさんありました。けれどもそれは楽しい人生なのではないでしょうか。
今から筑波大学附属視覚特別支援学校でたくさんの貴重な勉強をし始めます。これからも皆さんの応援でがんばり続けたいと思っております。
ですから「皆さん、申し訳ありませんが、これからもよろしく御願いいたします。皆様もお元気で!」
「半年になる」
モハマッド・フザイファ・ビン・アハマッド(マレーシア)
(注:日本語の授業で勉強した「である調」で書きました。)
私は、日本へ来てからほぼ半年になる。来たばかりの時は、日本の天気や食べ物や文化など、まだ慣れていなかったので、とても大変だった。特に日本語はあまり分からなかった。話すことと聞くことなども上手じゃなかった。日本語点字は初めて勉強するので、読むことがとても遅くて難しかった。
そのころ、一番心配になっていたのは筑波大学附属視覚特別支援学校の入学試験だった。試験まで1ヶ月ないので、受けられるかどうかと思っていた。でも、IAVIの方々と先生たちも一生懸命教えてくれて、色々アドバイスをして、お蔭様で私たち二人は入学試験に合格した。本当に良かった。
今では日本の生活と日本の天気と食べ物などもなれてきた。不安なことも段々なくなった。先生たちとIAVIの方々も少し厳しく、でも優しく教えてくださり、今は日本語が上手になった。本当に有難うございました。
これから盲学校に入って、色々なことや難しいこともあると思うが、がんばれば何でも乗越えられる。だからこれからもがんばりたいと思う。
「厳しさを超えて花咲く6ヶ月(むつき)かな」
≪ボランテアの方から≫
感動の浜松、白杖作りに同行して
横山 邦彦〔板橋区在住〕
去年来日した研修生のフザイファさんとカウンテットさんと、石渡理事長と一緒に、思いもかけず浜松へ行くことになりました。それは感動の連続でした。
ウイズ半田と蜆塚で、斯波千秋さんの「障害者の社会参加と自立・完全参加と平等を目指して」という難しい話を、研修生と一緒に聴かせて頂きました。
難しい話を易しく解説して頂きました。
・一緒に生きるとは、障害のある人達が、社会のなかで自立し平等に
生きること。
・大人は社会で働かなくてはならない。
・国の金と自分で稼いだ金で暮らさなければならない。
・それを社会が受け入れることも目的としている。など、
実践に基づいた理論は、どの話も納得し心に沁みました。
また、ウイズ半田では研修生の二人が、折りたたみ(5段)の白杖作りに挑戦しました。
私は“研修生はお手伝い程度に手を出すもの”と甘く考えていました。ところが、研修生が、折りたたみの白杖作りに本気で挑戦したのです。斯波先生が挑戦させたのです。
熱湯に5本のパイプを潜らせ、白くコーティングをし、ナイフで5段の筒の内側を削り、カッターナイフで先を削り、真剣勝負を見るような、息が詰まる場面を1日見つめていました。
研修生が怪我をしないか、指を切ってしまうのではないか、とハラハラして見ておりました。まさに手に汗を握ることでした。
斯波先生は、「最終の新幹線にしますか、もう1泊しますか」と、尋ねました。二人とも、「自分でお金を払って泊ります」と答えていました。
失敗して、最初からやり直すパイプもありました。
夕暮れが近づく頃やっとパイプに紐を通し、5本が1本になりました。
完成した時は、飛び上がり、手を取り合って喜びました。研修生も涙が見えました。
二人とも、「この白杖は使わない」「もったいなくて使えない」と言っておりました。
研修生のお二人は、文化も習慣も違う日本で一生懸命に勉強し、将来は指導者として頑張ろうという気概を持っており、感動いたしました。私にとっても、思い出に残る感動の浜松になりました。ありがとうございました。
≪事務局から≫
地域の子供たちと楽しく交流
3月24日(土)、援護協会の事務所から歩いて10分の集会室と児童館で「であい ふれあい そだちあい」と題して、地域の子供達、お年寄り、大学生、援護協会の留学生たちが参加して、楽しい交流会が行われました。
インドネシア、マレーシア、ベトナム、モンゴル、ミャンマー、それぞれの留学生が自己紹介して、地図でその位置を確認して子供達からの、質問がだされ、留学生が答えました。
留学生の「上を向いて歩こう」の合唱や、みんなで輪になっての楽しいゲーム等が行われました。点字の説明などもされて、「今日の日はさようなら」の点字と墨字が書かれた紙を見ながら、全員で合唱が行われました。
また、児童館を見学しながら、自然にテーブルを囲んで子供達と留学生のゲームが始まり、「お姉さんは目が見えないんだよ」との留学生の説明を聞きながら、とにかくゲームは大いに盛り上がりました。
子供達とは自然と仲良くなれ、留学生たちにとっても、めったにない楽しく貴重な体験が出来ました。
このような、地域の皆さんとの自然な交流を今後も大切にしていきたいと思いました。
=編集後記=
3月31日、「卒業・入学・進級を祝う集い」で、留学生の歌や楽器演奏、鶏の物まねなど、なかなかの役者ぞろいにびっくり。また、モンゴルの餃子や、マレーシアのビーフンなど、留学生の手作りの料理も、なかなかでした。「海外からの便り」は、次号でお楽しみに。 (愛)
= 業務日誌 =
2月16日 お互いさまネット月例会(防災講演会)参加。
2月20日 長尾榮一先生葬儀に参列。
2月25日 板橋区日本語スピーチ大会に参加。
2月27日?3月1日 筑波大附属盲、体験入学。
2月29日 直居鐡元理事長、逝去(享年85歳)。
3月 1日 『ロータス通信』第248号、発送。
3月 3日 インドネシア、アグスさん一行3名、来日。宿泊。
直居鐡先生葬儀に参列。
WBUAP(マレーシア)一行、歓迎懇親会参加。
3月 5日 アグスさん一行、平塚盲訪問、引率。
3月 6日 アグスさん一行、ヘレンケラー協会・日点訪問、引率。
3月11日 日盲社協震災シンポに参加。
3月12・13日 留学生研修旅行(手で見る博物館)引率。
13日 松田さん、来館。ふれあい祭り実行委員会参加。
3月15日 筑波附属盲卒業式に参列。
お互いさまネット定例会に出席。
3月16日 留学生、池袋防災館体験。
3月24日 お互いさまネット・志村第3小・清水町児童館、IAVI
共催による留学生と地域の交流会に参加。
3月25日 留学生、自主企画旅行(八景島シー・パラダイス)。
3月26日 湯浅さん、来館。久米先生、来館。
3月27日 留学生、テーブルマナー講習会。
平成24年度予算理事会・評議員会。
キンキンさんのご両親、来館、ご挨拶。
3月30日 ジュエリーボックスとの交流会。
3月31日 卒業・入学・進級を祝う会。
4月 2日 クンチャンさん、塩崎さん、来館。
4月 3日 留学生、第五福竜丸平和記念館、見学。
4月 5日 植草さん、来館。
4月11日 ジャパン・ハート、舟橋さん
社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会(IAVI):https://iavi.jp/
〒174-0052 東京都板橋区蓮沼町20-18
電車でお越しの方:
都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅下車
「A1」出口を右に出て一つ目の信号を右に曲がり、右手3軒目。徒歩3分。