ロータス通信295号を発行しました。

   

 

コロナ禍でも活動は活発に継続!!

 例年にまさるご支援をお願いします!!

                       理事長 石渡 博明

 新型コロナウイルスは、英語の略称でCOVID-19とも言われるように、昨2019年末に発生、コロナ禍は、当初の期待も込めた楽観的見通しは残念ながら見事に外れ、2020年の年末を迎えようとしている今も、世界規模で沈静化の動きがみられないどころか、ますます拡大化の一途をたどっています。

 そのため、本誌前号P7からP9「第1回IAVI国際LINE会議」の記事や本号P4からP5の記事でもご紹介しましたように、帰国留学生の多くがマッサージ業に携わっていることから、日々の活動、生計へのマイナスの影響は非常に厳しいものがありますが、皆さん元気に頑張っています。

 一方、事務局は、コロナ禍で発生した新たな事態には適宜対応しつつも、これも前号巻頭言で触れましたように、基本的にはコロナ「騒動」に巻き込まれないよう、振り回されないよう、従来の業務を粛々とこなしていくよう、務めてきたつもりです。というよりも、コロナ禍の新事態に対応するため、また文科省によって補助金廃止に追い込まれた事態を跳ね返していくため、従来以上に活動を活発化させてきたところです。 

 具体的には、当初予算に盛り込まれていなかったかなりの額の出費を補填すべく、赤い羽根共同募金による「外国にルーツがある人々への支援活動応援助成」等に応募したり、昨年の「白い杖の留学生国際大会」以来、IAVIの留学生招聘活動を紹介する番組を制作してきてくださったNHK World(オルタスジャパン)に取材協力を行ったり、コロナ禍の元留学生の様子を中心にIAVIの事業を紹介してくださったNHKラジオ「視覚障害ナビラジオ」の取材に応じたりと、これまでとかく不得手だった、対外的発信にも力を入れてきました。

 また、国際大会のアピールでも指摘されましたように、文科省による補助金廃止に抗して、海外からの視覚障害留学生招聘事業の継続―新たな枠組み作りについても、それなりの見通しが持てるような議論を進めてきました。また、国際大会を契機にはじまった台湾の謝さんを中心としたケニア支援の取り組みも、皆様方の力強いご支援と合わせて、白杖・点字盤、点字用紙の搬送へ向けて、いよいよ本格的な事務作業に取り組める段階に移ってきました。 

 そうした中、9月から筑波技術大学情報システム学科の研究生として入学を許可されながら遠隔授業でしのいできたモンゴルのダグワさんが、11月26日、待望の来日を無事果たし、12月10日までの舟橋記念会館での隔離生活を終えて、本格的な学生生活に入りました。

 また、コロナの影響で4月の日本への帰国便が欠航し、長いことキルギスに留め置かれたアクモールさんが、なんとか来日便が確保でき、12月22日、日本へ戻ることができそうな見通しになってきました。その際は、来年4月からの筑波盲進学を希望しているサマットさんもいっしょに来日の予定です。

 コロナに負けず、留学生の皆さんは頑張っています。事務局も留学生に負けずに頑張っていきます。例年にまさるご支援をお願いいたします。

 よいお年をお迎えください。来年もよろしくお願いいたします。

 なお、NHK WorldのIAVI紹介番組「Crossing Oceans with a White Cane」(英語版のみ)は、以下のURLで向こう1年間、視聴できます。

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/special/episode/202011070810/ 

 

新しい留学生がきました≫

自己紹介

 私はトゥメンツェレグ・オチルダグワです。いま、27歳です。

 モンゴルのウランバートル市から来ました。家族といっしょに住んでいました。

 2016年から2020年の間、モンゴル盲人協会の附属専門学校でコンピューターの教師をしていました。そこで、視覚障害者にスマートフォンやコンピューターの使い方などの基本的な方法を教えていました。

 またこの間、働きながら、国立文化芸術大学を卒業しました。そこで、サウンドディレクターになるために勉強していました。

 視覚障害については、左目が全盲で、右眼は光覚、光が分かるのですが、視野が狭くなります。

 趣味は、音楽をきいたり、歌をうたったりすることです。また、新しい技術の情報をよむことがすきです。例えば、スマートフォンのアプリやOS-Operating Systemなどです。

 日本へ来た目的は、“筑波技術大学”に入学することです。

 この目的を実現するために、今年の9月に研究生として“筑波技術大学”に入学しました。もっと頑張って、早く大学生になりたいです。

                      (来日から4日目に書いてもらいました。)

 

≪ネパールより、皆さんよろしくお願いします≫

                  スレス・ラズバンダリ(ネパール)

 兵庫県立盲学校で勉強して、1996年3月に帰国。ネパールの77の行政区の中でも小さなバクタプルというところに在住して、500人の盲人協会の会長をしているとのこと。

 盲人協会は会費と援助で運営されており、国などからの支援はないという。図書館も運営している。働いている視覚障害者が20人程度だけで、教師や、団体の職員、線香や液体石鹸の製造などの仕事をしているとのこと。やはり仕事の問題が一番大きいが、貧しく自分の家もない人も多く、さまざまな権利のことなど課題は多い。教育はだいぶ良くなったという。リハビリテーションセンターの必要性なども語っていました。 

 一部ポカラなどの観光地では視覚障害者のマッサージの仕事も出てきているが、マッサージに対する国民の意識の問題もあり、今は難しい。リーダーシップ研修とか、会員が市役所に行くときの相談、遠足などの楽しい企画もしているとのこと。

 盲人図書館や学校の先生などを務めて、現在は「Voice for equal opportunity Project Reading for all assistant officer of coordination and communication」というところで、いろいろな障害のある人たちの問題解決のために声を聴いて、自治体の窓口などに行ったり、相談などをしているとのこと。

 奥さんが10年前に亡くなり、御両親も亡くなり、5年前には大きな地震もあり、厳しい状況のようでした。でもお子さんが18才と12才の二人いて、スマホの操作などを上のお子さんがサポートしてくれているようでした。

 これから、日本との情報交換をしながら、ネパールの視覚障害者の権利の向上のために頑張りたいと言っていました。時々、単語を忘れていて英語が出ますが、話していくうちに、どんどん口がスムーズに動くようになるようです。

 LINEやZOOMなどで、常に連絡が取れるようになりましたので、これから長くつながっていきたいと思います。

 

◎コロナ禍で厳しさ増すマッサージの仕事◎

 8月末の10か国を結んだLINE会議の最後は、韓国のヤンさんの「感染状況が悪化している、本当に明日からどうなるのか?」という言葉で終わりました。

 その言葉が気になり、11月中旬に状況確認をしました。彼のお店のあるソウルでは感染が広まり、お客さんは3割減っていて、その内容はお年寄りだという。そしてこの状況が、1年から2年続くことを前提にしなければならないと覚悟している。最近、若い人のマッサージ技術を体験することがあったが、はっきり言ってその内容は本当にひどいものだった。若い人たちの10人のうち9人が、今の状況に満足してしまっている。韓国はそれなりに福祉が充実して、何とか生きられる状況がある。そして若い視覚障害者はそのなかで、それに満足してしまっている。これで良いのかと、痛感したとのことです。

 マレーシアの感染状況は、8月末から継続してよくない。11月中旬から実質的な2回目のロックダウンの状況であるが、この影響が、メイさんの務める大きなマッサージ店にも直撃。1日いても1時間か、良くても2時間しか仕事ができない。これでは、どうにもならない。このような状況は、第1波より厳しく、またいつまで続くのかという不安も大きくなってくる。実質的なロックダウンは、さらに延びそうである。

 勤めるマッサージ店が閉鎖してしまって、田舎に帰っているというのが、ミャンマーのミンラインさん。大変な状況はもう数カ月も続いている。そんな中で、あるマッサージ店で感染者が出てしまったという。日本のように、きちんと勉強をして、衛生知識を持ってお店を経営している状況と違い、問題を抱えながら無理やりにお客さんを入れてしまっているようだ。コロナの中でこれらの問題が一度に噴出した感じである。

 厳しい状況の中で、きちんとお店の接客・施術の基準を作り施術している、日本の事例などを情報交換しました。大変な状況は続きそうです。感染状況による違いは大きいが、業界全体での統一的な打開策を考える必要があるのではないのか。 

                       (編集担当の取材より)

 

≪元気に頑張っています≫

                  ブイ・ヴァン・タン(ベトナム)

 ベトナムで頑張って活動している、17人の視覚障害者が盲人協会から表彰され、そのうち3名が授賞式で発表しました。私が表彰されたのは、日本に留学して勉強して帰国し、自らマッサージ店を経営しながら視覚障害の生徒たちにマッサージを教えてきたことです。

 今後、盲人協会と視覚障害者を教える訓練学校を開設してほしいと要望して、国に視覚障害者のマッサージができるように認めていただきたいとお願いしました。

10月以降、台風の被害が大きく、新型コロナで経営が大変だが、頑張っているとのことです。

 

≪台湾の謝君が、ケニア支援のために総統へ手紙≫

 蔡総統、突然のご連絡、申し訳ございません。

 私はシェインチャンと申します。全盲の視覚障害者です。台北市立盲学校で教えています。

 2019年11月28日から12月1日まで、国際視覚障害者援護協会の招待で、日本で開催された「白い杖の留学生の国際大会」に参加し、台湾の視覚障害者の教育や社会福祉及び就労状況について発表しました。

 大会中、世界各地からの元視覚障害留学生の発表を聞きました。アフリカケニアからの発表の中で、現地の視覚障害者が白い杖を買うことができず、出かけることもできないと聞きました。

 白杖は視覚障害者外出時の重要な道具です。自由に外に出られれば、教育や仕事のチャンスをつかめ、自立生活できるようになり、人生を広げる第1歩を歩みだせます。

 台湾に戻り、この情報を周りの友達に知らせ、募金活動を始めました。白杖を購入してケニアの視覚障害者たちに送ろうと思っていました。そして、お陰様でたくさん熱心な方々から十分な資金が集まりました。

 白杖作りの会社とも交渉済みですが、ケニアまでの郵送手段が見つからなくて困っています。

 外務省の方にも連絡しましたが、ケニアとの外交関係を結んでいないため手伝うことができないとのこと。

 2016年、蔡総統が就任したばかりの時から、身心障害者と弱者の権利について関心を持ち、重視していることを感じています。

 総統府まで障害者関連団体を招き、一緒に障害者の芸能を鑑賞したことを、今でも鮮明に憶えています。あなたのような方が総統であることをとても誇りに思っています。

 もし可能であれば、今回ケニアに白杖を送ることを助けていただけませんでしょうか。

 そうすれば、台湾からの優しさと愛情は、ケニアの視覚障害者たちまで届きます。台湾は国際的な援助活動も積極的に参加していることも、世界中の人々に証明できると思います。

 どうかお力添えをお願い申し上げます。

(※編集担当:この手紙に、総統府よりぜひ協力していきたい旨の連絡があり、台湾外務省で具体的に作業が進行中です。)

 

〇事務局よりお知らせ〇

 ロータス通信をお読みいただいている皆さま。日ごろのご協力に心より感謝申し上げます。

 前号でケニア支援をお願いしましたところ、多くの皆さまよりご支援を頂戴いたしました。心より感謝申し上げます。

 ケニア支援につきましては、1月末日をもって締め切らせていただきます。皆さまよりいただいたご厚志で、点字器や点字用紙などを購入させていただきますとともに、現地への送付や、現地での配布作業の経費に充てさせていただきます。

                     (詳細は次号、3月号に掲載する予定です。)

〇会計よりご報告〇

 今年2月末よりコロナのため、盲学校寄宿舎が閉舎となりました。留学生は、寄宿舎が開くまで援護協会で宿泊をしていました。その間、留学生のお世話をしてくださる寮母さんをお願いしました。

 その費用を、三菱財団様×中央共同募金会様の「外国にルーツがある人々への支援活動応援助成事業」より助成していただきました。

 また、このような困難な状況が継続することに対して、「明るい社会をつくる板橋区民の会」様からは「これからも頑張ってください」と、個別支援をいただきました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

 また、公益財団法人洲崎福祉財団様より、点字ディスプレイ購入のための助成をいただきました。これにより点字文章の編集作業を効率的にすることができるようになりました。大切に活用して、点字文章の提供の充実に努めたいと思います。ご報告と御礼を申し上げます。

 

◎来年秋「Withコロナを共に歩むための

 第2回白い杖の留学生国際大会」をオンライン開催◎

 白い杖の留学生国際大会からはや1年。コロナ禍の厳しさの中で、コロナに負けない、各国の視覚障害者の声を一つにして、ウイズコロナの時代を共に歩んで行く道を探っていきたいと思います。

 今、事務局では、各国で頑張っている12か国20名近い、IAVI元留学生との繋がりをLINEで作っていますが、この繋がりで、日本でご支援いただいている多くの皆様との交流の場を、ぜひ持ちたいと思います。 

 そのために、現在、ZOOMの練習をみんなでしています。どうか様々な面でのご支援をお願いいたします。

                      (詳細は次号、3月号でお知らせします。)

 

★LINEで帰国留学生とお話しいただける方を募集します★

 何人かの元留学生から、日本語ともっとかかわっていきたいという声が出ています。週に一度でも、お話ししていただいたり、新聞記事などを一緒に読んだり、ニュースを一緒に聞いたりしていただける方を募集します。

 日本語を教えるというより、一緒にお話ししていただけることが、何より大切です。日程は、それぞれ相談して決めていただきます。どんなものを題材にしていくか、一緒にご相談いただければと思います。

 お力をお貸しいただける方は、事務局までご連絡ください。スタートするまで、事務局が一緒にフォローさせていただきます。

 

★可能性広げるZOOMイベントへ海外からの参加★

 コロナ禍の中で一つだけうれしいのは、ZOOMでの講演会などが多くなったことです。これは、距離の壁を超えるもので、国境の壁もありません。11月22日、日視連スポーツ協議会主催の視覚障害者スポーツ講演会が、ZOOMで開催され、マレーシアのメイさんと参加しました。講演会での日本語もきちんと理解できたとのことで、鍼灸関係の勉強会にも参加できました。ある程度のレベルの日本語能力を維持し、さらに発展させることが大切だと感じました。

 インターネット回線の課題がある国も多いのですが、日本語をマスターして帰国した元留学生の皆さんには、今後、限りない可能性が出てきたように思います。IAVIが、視覚障害者の自立に向けた彼らの夢の実現のために、いくらかでもお手伝いができればと思います。

                             (編集担当:新井)

 

<今月の写真>

     ダグワ 修正.jpg

     料理を作るモンゴルのダグワさん

     スレス.jpg

     ネパールのスレスさん、娘さんと一緒 

     タン.jpg

     授賞式の壇上で話すベトナムのタンさん

 

=業務日誌=

9月  2日 筑波技大訪問(ダグワさんの入学・ビザ関係事務)。

       選挙公報研修会(ZOOMにて。新井・中、参加)。

       いたばし区ともに生きる連絡会関係者3名、来館。

    3日 オルタスジャパン・奥村さん、来館・打ち合わせ。

       現代教育行政研究会(前川喜平さん)訪問。

    5日 オルタスジャパン、コーコーさんを取材(東大島)。

    7日 ダグワさん、遠隔授業(モンゴル?つくば)開始。

       民族フォーラム・新村さん夫妻、来館。

    8日 甲斐さん夫妻、来館・食品販売(以後、毎週2回)。

    9日 オルタスジャパン、Dシリンさんを取材(筑波技大)。

   11日 入管局訪問(ダグワさんのビザ申請)。

       赤い羽根共同募金から助成決定の連絡。

   13日 バヤルさんと戸山サンライズ訪問(アリさんと再会)。

   16日 『ロータス通信』294号(墨字版)発送作業。

       おたがいさまネット月例会に参加(新井理事)。

   17日 明るい社会をつくる板橋区民の会・金子さん、来館。

   24日 いたばし区ともに生きる連絡会関係者3名、来館。

   25日 昭和印刷・内山さん、来館・打ち合わせ。

10月 8日 櫻井さん、来館・水回り点検。

       平塚盲学校訪問(コーコーさんの近況聞き取り)。

   10日 ケニア支援ライン会議(台湾・ケニア・日本)。

   13日 視覚障害者のための手で見る博物館訪問。

   14日 立川國紀さん、IAVI支援コンサートに参加。

   21日 入管局訪問(サマットさんのビザ申請)。

       アメディアZOOM番組にDシリンさん出演。

   22日 洗濯機買い替え、搬入。

11月 1日 日本点字130周年記念講演会をZOOMで視聴。

    2日 視覚障害者ナビラジオ・遠田恵子さん、来館・取材。

    5日 EBUからオンキョー入選作届く、翻訳手配。

    7日 NHKWorldでIAVI紹介番組放映。

    8日 IAVI第2回ライン会議。

    9日 ABUからオンキョー入選作届く、翻訳手配。

   14日 SDGsいたばし・課題別プロジェクト発足式に参加。

   15日 NHK視覚障害ナビラジオに田畑評議員が出演。

   19日 須崎助成金ZOOM贈呈式に新井理事が出席。

   26日 モンゴルからダグワさんが来日。  

 



社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会(IAVI):https://iavi.jp/

〒174-0052 東京都板橋区蓮沼町20-18

電車でお越しの方:
都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅下車
「A1」出口を右に出て一つ目の信号を右に曲がり、右手3軒目。徒歩3分。

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