NO.305
2024/11/05
コロナ禍もようやく沈静化、IAVIでは地域との連携活動が活発化!
理事長 石渡 博明
『ロータス通信』305号をお届けします。コロナ禍がやっとのことで沈静化、以前の「日常」がそれなりに戻りつつあります。
去る3月18に行われたささやかな食事会は、ミャンマーのリンさんの研修終了-帰国、コーコーさんの日本帰国-復学、キルギスのサマットさんの進級、マレーシアのファイズさんの入学をお祝いして開かれたもので、その後に開かれた「日本語研究会」 にご参加の先生方もいっしょに記念写真におさまってくれました。
援護協会の年度行事はこれで無事終了。4月からは新年度にあわせた行事や事務をこなしていくことになりますが、この間は「こもどサロン」をはじめとした地域との連携を進める活動が活発化してきています。
これらの活動は、社会福祉法人に課せられた地域貢献活動という側面もありますが、それよりも、もともと援護協会の基幹事業である視覚障害留学生の支援事業を行なうにあたっては、地域の皆さんのご理解や地域との協業が不可欠であることの現れということができるでしょう。本稿執筆中の先ほども、地元の町内会からご寄付が届けられたばかりです。
援護協会は地域ばかりではなく、全国から寄せられる皆様方のご理解とご支援によって支えられてきました。例年と同じように、今回もご支援のほどをよろしくお願い致します。
★令和4年度の事業報告と会計報告★
<令和4年度事業報告>
(令和4年4月1日~令和5年3月31日)
1.視覚障害者の更生相談事業
(1)外国籍視覚障害者に関する障害基礎年金、福祉施策等。
(2)海外からの視覚障害者の日本留学。
(3)視覚障害者の国際交流。
(4)海外視覚障害者の日本語学習。
(5)各国の視覚障害者事情についての情報提供。
(6)海外の視覚障害者関連施設との連絡。
2.支援事業
(1)留学生の受け入れ
○文部科学省の補助金が平成30年度に廃止されたため、この間、10月に2名の留学生を受け入れて6ヵ月の予備研修を行うという援護協会の基幹事業の実施は不可能になっていた。そうした中、マレーシアのアズリンさん母娘の推薦で、ムハマッド・ファイズ・ビン・ザイヌディンさんという男性マッサージ師の日本語学習を、Zoomを使って支援し、留学希望生として受け入れた。
(ファイズさんは、1月19日の筑波盲の受検に合格、IAVIの89番目の留学生として、4月から筑波盲の寄宿舎に入舎、現在は、同校鍼灸手技療法科で三療学習に取り組んでいる。)
(2)在学中・帰国後の各国留学生の支援等
- 在日中の留学生の入学式・卒業式への出席は、これまで欠かさず行ってきたが、コロナ禍の自粛要請に伴い、筑波盲・筑波技術大学の卒業式や入学式はいずれも縮小され、事務局からの出席も叶わない場合が続いていたが、コロナ禍の沈静化に伴い、筑波技大の卒業式のように、可能な場合はいずれも出席した。
- 夏期、冬期、春期の盲学校寄宿舎の閉舎時に、在学中のキルギス留学生及び台湾の留学生の宿泊(ホームステイ)を受け入れた。
- 在学中の留学生の在留資格の更新や在留資格の変更の際の手続き・出入国の介助を行うとともに、留学生の病院引率等、在学中のケアにも積極的に取り組んだ。尚、ミャンマーについては、具体的なケアができたわけではないが、情報の取得・共有化に努めた。
- 「白い杖の留学生国際大会」以降、新井理事が中心となって進めてきたLINEのネットワークは、日本語のブラッシュアップに加えて、マッサージについてのネットワークも立ち上げることになった。
- 故・浅野理事と共に視覚障害者の日本語学習=日本語教育についての研究活動をされてきた先生方(秋元先生・河住先生・藤田先生)のお力をお借りして、IAVI内に「日本語研究会」を設置し、昨年4月以降、具体的な取り組みを行なっている。
(3)視覚障害者の国際交流・国際協力、地域交流等
- 「国際大会」での出会いを機に、台湾の謝瑛昌さんの呼びかけで始まったケニアの視覚障害者の支援活動は、想定外の様々な困難で大幅な遅れが生じていたが、本年2月28日に白杖500本、点字器300点、点字用紙1万枚を発送、3年半越しのケニア支援活動の終了を確認でき、今後のケニアとの交流の礎を築くことができた。
- オンキョー世界点字作文コンクールを主催してきた(株)オンキョー・ホームエンタテイメントの倒産が明らかとなり、同コンクールの復活は望めず、また、選考委員会への出席をかねて帰国した元留学生を訪問する機会もなくなってしまった。
- ハワリンバヤル等、留学生の母国にちなんだ各種フェアがコロナ禍で軒並み中止となっていたが、12月26日、板橋文化会館で行われた馬頭琴コンサートには、バヤルさん、ファイズさんが出席、ファイズさんは数少ない行事参加で、堪能できた模様である。
- コロナウイルス感染予防の観点で恒例の新年会は実施せず、またファイズさんの日本語学習支援に追われたため、行事らしい行事はほとんど実施できず、例年3月末に行ってきた卒業・進学・進級・帰国に伴うお祝い&お別れ会も小規模での実施で終わってしまった。
- 地域交流についてはコロナ禍で、おたがいさまネットワークの月例会(新井理事がほぼ定例的に出席)以外は、ほとんどが延期ないし開催中止に追い込まれ、12月4日の清水地域活動見本市に参加した他は、事務局も留学生も交流の機会がないままの一年であった。
- 数少ない行事の一環として、板橋区の日本語スピーチ大会にファイズさんが参加して、地域の日本語教育に携わる方々と交流した。
3.会館・事務局の運営
- 留学生の帰省・交流・研修の場としての舟橋記念会の役割は、コロナ禍で従来にも増してその重要性が再確認されたが、寮母さんお二人が同時にお辞めになるという事態が発生、今後の寮母さんの確保に不安が生じ、求人活動の継続が必要とされている。尚、懸案であった寮母室を始めとして雨漏り対策を全面的に行った。
- 事務局は、あいかわらず仕事量に比して人員不足、人員に比して仕事量過多のため、理事長がほぼ常勤職員として事務をこなしていたが、2月に心臓のカテーテル手術を受けた上、腰部脊柱管狭窄症で歩行に困難を強いられている。
- この間、庄麗さんが地元小学校などの依頼で出前講座を実施してきており、本年度は下赤塚小にて実施した。
4.点字図書・テープ図書、CD図書の製作・相談等
- 選挙公報点字版制作の受託業務は、参議院選挙の実施に伴い点字版作成を担当した。
- 仏教伝道協会発行のパンフレット『ブッダの教え』の点字版作成の仕事を受託したが、電動式点字プリンターが故障、実際の作成作業は年度を越してしまった
- 点字への関心が広がってきており、官庁や企業からは点字シールの問い合せや依頼が多くなって来た。又、HPで点字に関する情報を提供した結果、名刺の点字印刷の注文に繋がったものが増えてきている。
- 海外の視覚障害者及び支援者からの日本語学習についての問い合わせが多くなり、その都度、相談に応じた。特にスリランカ、メキシコ、香港の方の相談に応じ、日本語指導については、庄さんがZoomを使って対応してきている。
- 歩行訓練・生活訓練をお願いしている木村仁美先生が講師を勤めておられる東京福祉大学で用いる点字テキストの作成を受託、三省堂書店を通して販売した。
5.広報活動
- 日本の視覚障害者、晴眼者に対する情報提供等、維持会員及び協会支援者に対して、協会の活動状況や留学生の現状を報告し、理解と協力を得るための情報誌『ロータス通信』を年間4回、第301号から304号まで編集・発行した。
- 「白い杖の留学生 国際大会」の報告集を作成、『ロータス通信』誌上で、希望者への配布案内を行ってきている。
6.他団体との交流、慶弔等
- 他団体との交流に関しては、大会、総会等がコロナ禍でほとんど中止になり、インターネットを介した情報交換が中心であった。
- 長年、援護協会の留学生の歩行訓練や生活訓練、また『イラストでわかる視覚障害者のサポート』などの編集・執筆をなさってくださっていた元評議員の鈴木文子さんが去る2月27日にお亡くなりになり、5月14日に「偲ぶ会」が催され、中さんが出席、新井理事からは台湾の頼さんからのお手紙を差し上げた。
又、3月15日、オンキョー点字作文コンクールの選考会(マレーシアで実施)に同行してくれたり、入選作品の翻訳を無償で行なってくれたりと、IAVI事業を陰で支えてくれていた翻訳家グループのお一人・鈴木理絵子さんが癌との闘病生活の末に旅立たれ、4月30日、横浜のカトリック山手教会でお別れミサが営まれたが、業務の都合で出席が叶わなかった。
7.財産管理・備品整備等
- 志村消防署の立ち入り検査で、消化器の設置が防火要件を満たしていないとの指摘を受けたため、2台を購入し教室と事務所に設置した。
- Zoomの普及、活用の必要性に鑑み、事務局としてZoomの利用契約を行った。
- 本年2月9日、東京都福祉保健局の方3名が来館、実地検査が行われた際の指摘事項に対して改善策を講じた。
8.収益事業
- 駐車場の運営は、車4台、オートバイ2台、自転車1台が、契約を継続して行っている。
9.「地の塩基金」「侑心基金」
- 留学生の日本語支援という侑心基金の趣旨に鑑み、帰国後の留学生の日本語力の維持・向上に資するためのオンライン日本語教育のZoom契約の経費を本基金から充当した。
以上
★ご支援くださった皆様へ 感謝のページ★
令和4年度(4年4月1日~5年3月31日)も、大変お世話になりました! 厳しい経済状況の続く中、多くの皆様から IAVI の運営のためご寄付いただきました。役職員一同、心より感謝申し上げます。感謝に添えて、ご寄付下さった皆様のお名前を、五十音順で掲載させていただきます。尚、大変ありがたいことに、年間を通じて複数回に亙ってお振り込みくださった方々が数多くいらっしゃいますが、その点は恐縮ですが、省かせていただきました。又、紙面の関係で敬称を省略させていただきましたことをお詫び申しあげます。尚、匿名でのご寄付もありました。本当に、ありがとうございました。
個人様
(あ)青山章行 赤木達男 浅野悦子 浅野雅廣 芦田建夫
安達雅子 新井愛一郎 律子 新井巌 新井協子 有賀実男
飯倉美樹夫 五十嵐やす子 井口義郎 井桁早苗 井崎倫子
石井薫 石川菊江 石田寛 石塚洋子 石渡博明
伊藤眞一郎 靖子 今井鍵造 今井新一郎 岩上義則
岩堀幸司 岩屋芳夫 上野己美子 宇佐神武捷 梅澤比芙美
梅原祥子 戎井人志 大越伊津子 大﨑百合子 大槻昇
小笠原和彦 緒方伸彦 緒方梨絵 岡野三郎 岡本良和
奥村雄輔
(か)甲斐建一 香川紀子 鍵村桂子 片岡龍 加藤郁雄
金子雅之 金本りせ子 川崎恭治 河瀬修一 川副紀美子
川又正人 若菜 河本昭三 姜英園 神吉勝仁 神原武志
菊島和子 菊地みつえ 北川幸子 木村愛子 清原順子
草川継夫 草野実枝子 草場直子 熊懐敬 黒岩春地
兼目忍 古賀副武 児島博紀 小林孝信 小林良子
五味哲也 近藤直美
(さ)齋藤秀一 坂井友実 酒井久江 坂尻正次 坂本泉
坂本啓子 鷺森功 迫玲子 佐々揚 佐々木憲作
佐々木誠子 佐藤賢明 塩尻輝雄 篠崎八恵子 斯波千秋
渋谷尚子 島田金幸 島田治夫 白井康晴 城崎淑子
進藤善正 いつ子 杉田冨士子 鈴木可奈子 鈴木清司
鈴木美枝子 須之内桂子 須原ひとみ 牲川波都季
(た)多賀義忠 高橋恵子 高橋秀樹 高安健一 高柳良夫
田口寿恵子 田窪いつ子 竹内昌彦 竹下義樹
竹下亘 八千代 田中孟文 田中正和 谷口英二 谷口春子
田沼圭介 ダンクン・チャン 丹野功一 崔錫允 千葉寿夫
張之羽 恒本藍子 寺澤元一 常盤和子 戸崎孝司
戸ノ下勝彦 飛松美紀 豊田宗周
(な)中島智子 長渡研史 中野英子 中村あゆみ 中村實枝
中村易世 名村嘉也子 新村隆之 栄 西方繁春 西川節子
西田幹夫 西村健吾 美千代 西村浩生 布川康平
根岸伸樹 野尻誠
(は)芳賀優子 畑千尋 波多野栄子 東野光子 樋口義浩
飛田直子 秀村研二 ファン・バン・ソン 藤田哲雄
藤野勝己 藤野喜子 伏見美智子 藤原健司 淵岡吹次
裴富永 堀和子 堀越昭彦
(ま)前島勝夫 松坂治夫 松田信治 松本保男 眞山靜子
丸山晃 圓山みち子 三上努 水上次郎 水口武夫
水野宏子 南信夫 南真由美 三好智美 三輪利春
茂木幹央
(や)矢野忠 矢部健三 山口和彦 山崎町子
山添和夫 多恵子 山田けい子 山本達美 結城直美
吉田重子 吉成宏太 米山衣江
(ら)ロ・キン ロイ・ビッショジト
(わ)渡辺久美子 渡辺澄江 渡辺勇喜三
(匿名)49名
団体・法人様
NPO法人尼視協 株式会社アレックス 大江紙業株式会社 かつしか人権ネット 木村眼科クリニック サウスアベニュー 公益財団法人社会貢献支援財団 東京家政学院大学光塩会東京支部 パスコ・ショップ・シムラ 蓮沼東町会 株式会社福田元三郎商店 (匿名)1団体
≪事務局会計より≫
当協会をご支援くださいまして、ありがとうございます。今号にてご芳名を掲載させていただきました。ご厚志をお送りくださるときの郵便振替用紙にお名前の公表、可・不可をお伺いしております。ただ、どちらにも〇をつけていただいていない方もいらっしゃいます。つけていらっしゃらない方のご芳名を今回は掲載いたしました。もし、今後掲載をご希望されない方がいらっしゃいましたら、協会までご連絡ください。引き続き、ご支援ご協力のほど、よろしくお願い致します。
8月9日(水)オンライン開催
元留学生達が語る 「各国のマッサージの仕事の課題」
2カ月に1度、それぞれの国で頑張る元留学生達をむすんで「マッサージスキルアップ研修会」をオンラインで開催しています。
今回は、それぞれの国のマッサージ状況がどうすればよくなっていくのか。毎日の仕事の中で感じていることを率直に出し合ってもらいます。日本でしっかりと勉強した彼らから出された課題と、日本の理療の現場で頑張る皆さんと交流がひろがれば、これからの大きな一歩になっていくのではと思います。
参加希望される方は、援護協会事務局までご連絡ください。
なお、時差の関係で、開始は8月9日の、夜9時から10時30分までとなります。10か国からの参加を予定しております。
夏ボラ23 子供たちに体験イベンを企画
夏休み自由研究のお手伝いもします
板橋総合ボランティアセンターの「夏ボラ23」の企画として、区内の子供向けに体験イベントを援護協会で行います。
視覚障害のことを知ってもらいながら、私どもとつながっていただくことを目指します。
対象は、板橋区内の3年生以上の小学生ですので、お声がけをお願いします。また、子供たちに一緒に説明をしていただける方も募集しております。皆さんと楽しみながら、子供たちの体験のサポートをしていきたいと思います。参加していただける方は、事務局までご連絡くだい。
楽しい体験会:7月25日(火)、26日(水)に、私たちの会館で体験会を開催します。二日とも、午後2時~午後4時まで。
白杖体験、点字体験、音声で便利にしていく体験、見やすくして便利にする体験、見えなくてもできるスマートフォン体験、などです。
※体験をして、夏休み自由研究のテーマとしたい人は別日に対応いたします。実施予定日:8月8日(火)
この日が難しい人は別途相談してください。
連 絡 先 メール:info@iavi.j 電話番号 03-5392-4002
=業務日誌=
3月
23日 ラマダン、開始。
27日 元評議員・佐藤賢明さんの訃報が奥様から届く。
30・31日 寮母さん(高田さん、関口さん)退任。
4月
1日 ファイズさん、サマットさん、上野で花見。
2日 ファイズさん、横須賀(三笠公園・猿島)散策。
5日 B・シリンさん、筑波技大大学院、入学式に参列。
リンさん、ミャンマーへ帰国(成田空港見送り)。
7日 ファイズさん、筑波盲学校寄宿舎入舎式に出席。
8日 ファイズさん、筑波盲入学式に出席。こもどサロン開催。
11日 ふれあい祭り実行委に参加。GWの宿直担当員・中村透さん来館、顔合わせ。
14日 ファイズさんの日本語支援反省会を開催。
18日 JTR来館、点字プリンター交換。
19日 庄さん、川越警察・交番勤務員に出前講座。
20日 おたがいさまネット、月例会に参加。
21日 ラマダン、終了。
22日 視覚障害者のスマホ勉強会に会場を提供。
サマットさん、ファイズさん、入管訪問(ビザ延長申請)
29日 サマットさん・田中君・ファイズさん、来館・宿泊。
中村透さん、宿直業務(泊まり込み:~5月7日)。
5月
1日 ファイズさん、友人と高尾山東京ハイク。
2日 留学生3人、日暮里のハラルレストランで昼食。
4日 留学生たち、中村さん、友人たちと食事会。
7日 留学生3人、退館・筑波盲寄宿舎へ移動。
10日 B・シリンさん、入管訪問(ビザ延長申請)。
13日 こもどサロンを開催。
14日 鈴木文子先生を偲ぶ会に中さんが出席。
18日 おたがいさまネット、月例会に出席。
19日 コーコーさん、入管訪問(ビザ延長申請)。
25日 一枝のゆめ財団、理事・評議員会(Zoom)に出席。
26日 IAVI決算理事会を開催。
29日 板橋区地域協議会に出席、発表。
6月
10日 こもどサロンを開催。
11日 板橋ふれあい祭りに参加。
15日 『ロータス通信』墨字版を発送。おたがいさま月例会。
社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会(IAVI):https://iavi.jp/
〒174-0052 東京都板橋区蓮沼町20-18
電車でお越しの方:
都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅下車
「A1」出口を右に出て一つ目の信号を右に曲がり、右手3軒目。徒歩3分。