No.285

      2024/02/27

2018年6月12日発行

 

ピンチをチャンスにしていくために、これまで以上のご支援をお願いします!

                          理事長 石渡 博明

昨年末の文科省の補助金廃止への対応もままならないまま、3月末の予算理事会・5月末の決算理事会を挟んで、留学生の卒業・進級・進学・入学と

あわただしい日々が続きましたが、若葉が薫り、花菖蒲や紫陽花の便りが届いてくる季節となりました。不順な天候の毎日にも時として好天が訪れて

くれるように、IAVIにも好転の兆しが早く訪れてくれることを願いつつ、4ヶ月ぶりの会報をお届けします。

 IAVIの設立目的であり柱でもある留学生招聘事業の見通しはまだまだ不透明ですが、これまで取り組みが不十分だった各種助成金の活用や大口のご

寄付を求めて本格的な取り組みをしていきたいと思っています。また、その際のアピールポイントでありIAVIの財産ともいえる帰国留学生を再度日本

に招聘して、日本留学の成果が帰国後、自身の自立・社会参加や母国の障害者福祉にどのように役に立っているか、を確認しあう帰国留学生のサミッ

トを来年中に実施すべく、準備委員会を立ち上げることになりました。皆様方の厚いご支援、ご協力をお願いするものです。

 

<平成29年度事業報告>(29年4月1日?30年3月31日)

1.視覚障害者の更生相談事業

   (1)外国籍視覚障害者に関する障害基礎年金、福祉施策等。

   (2)海外からの視覚障害者の日本留学。

   (3)視覚障害者の国際交流。

   (4)海外視覚障害者の日本語学習。

   (5)各国の視覚障害者事情についての情報提供。

   (6)海外の視覚障害者関連施設との連絡。

2.支援事業

(1)留学生の受け入れ

〇応募ないし打診のあった学生は2ヶ国(ミャンマー1・マレーシア1)2名であった。7月14日、スカイプを使って日本語の進捗度を

チェックし、以下の1名をIAVI奨学生に決定した。

    テイン・チョウ・リン(ミャンマー/19歳/男性/弱視/通称リン)

   尚、台湾の元留学生・詹明松さんの紹介で蔡静如(ツァイ・チン・ル/30歳/女性/全盲/通称シズ)さんから打診があったが、ODA

   対象国ではなくまた日本語が不十分だったため、IAVI奨学生にはできなかったものの、志望動機が明確なため、日本語講師等と相談の上、

   リンさんの日本語授業の聴講生として経費自己負担で受け入れた。

〇入国した留学希望生のリンさんに対し文部科学省の補助事業費(政府開発援助文化交流団体補助金)を得て「外国人学生(視覚障害者)

の盲学校入学前予備教育支援事業」を実施、シズさんも必要かつ可能な範囲でカリキュラムに準じて参加した。

〇リンさんに身体障害者手帳等の取得手続きの介助を行った。

(2)在学中・帰国後の各国留学生の支援等

〇盲学校の寄宿舎の閉舎時に、在学中の留学生の宿泊を受け入れた。

〇在学中の各国留学生のビザ更新、および一時帰国の手続き介助を行うとともに、病院引率や心理相談、日本語の補習・専門科目の教科書

読み合わせなど、学力強化についても積極的にフォローを行った。

〇盲学校の卒業・マッサージ師の国家資格は取得できたものの、鍼・灸の国家試験に再挑戦する留学生・元留学生の学習機会確保のため、

関係機関受験の事務および付き添い等、各種支援を行った。

〇各国でマッサージ師の法整備が進む中、大学卒・大学院卒の資格が必要となった留学生・元留学生の進学に向けて、関係機関との調整・

受験書類の作成や付き添い等、各種支援を行った。

〇台湾の元留学生・謝瑛昌さんの要請で、3月15・16の両日、藤井亮輔評議員を講師に台北の愛盲学院で、マッサージのブラッシュア

ップ研修セミナーを行った。

(3)視覚障害者の国際交流・国際協力、地域交流等

  〇留学生の入国介助やオンキョー世界点字作文コンクールの選考会出席に併せ、関係機関を訪問したり、帰国留学生・JICA派遣員等、関係者と

  の情報交換を行った。

  〇日本点字普及協会の公開講座「留学生が語る各国の点字事情」に留学生3名が参加・発表し、同協会が新たに開発した「トッテンくん」の使

  用者モニターにも留学生5名が協力、また江東区ユニバーサルデザイン・ワークショップや日本橋ユニバーサルクルーズのモニターにも留学生

  や関係者が参加、意見提供をした。

  〇会員の芳賀優子さんの仲介で、この間、共用品推進機構のアンケートやモニタリングに応じる機会が増えてきたが、留学生にも積極的に

  コミットしてもらい、関係者・関係機関との情報交換ができた。

  〇新留学生の歓迎を中心とした留学生歓迎交流会、弱問研有志との共催による高尾山の初詣、IAVI新年会、卒業・進級・入学・帰国にともなう

  お別れ会等を実施、会員や関係者の皆さんとの交流を図った。

  〇リンさん、シズさんが、板橋福祉大会・障害者週間での出展や徳丸芸能祭に参加したり、板橋区在住外国人の日本語スピーチコンストに参

  加・発表したりしたのをはじめ、在学中の留学生が板橋ふれあい祭りに参加、マッサージの模擬体験を実施するなど、学校外での体験を広げる

  ことができたとともに、区内での視覚障害留学生・IAVIのプレゼンス向上に資することができた。

3.会館・事務局の運営

  〇例年のように、留学生の帰省・交流・研修の場として舟橋記念会館を運営してきた成果として、留学生の家族や各国盲人協会関係者などが来日

  した際の宿泊先として利用される機会が増えた。

  〇社会福祉法人の制度改革に伴い、定款の変更・届け出等の事務処理を行うとともに、新たに設けられた「板橋区社会福祉法人連絡会」や「同施

  設等連絡会」に加盟、他団体との交流・情報交換を行った。

  〇事務局運営上特筆すべきこととして12月25日、文科省の課長補佐が来館、次年度からの補助金廃止が告げられ、1月12日に緊急の理事会

  を開催し次善策を討議したが、具体案策定までには至っていない。

4.点字図書・テープ図書、CD図書の製作・相談等

  〇会員の支援を得て点字の通信教育を行った。また、点字への関心の広がりを背景に、ホテルや施設などからエレベーターに点字を付ける問い合

  わせが多くなってきた。

  〇HPを介して日本語点字に関する相談と情報を提供し、名刺の点字印刷の注文に繋がったものが増えてきている。また、10月の衆院選に際し

  て、選挙公報の点字印刷を約1000部、行った。

  〇日本語教材の照会、視覚障害を持つ児童・生徒への日本語指導についての問い合わせが複数件あり、都度、相談に応じた。

  〇卒後鍼灸手技研究会(坂井友実会長)の委託により、同研究会事務局として筑波大学東京キャンパス(茗荷谷)にて年6回研究会を開催し、会

  員に資料配布やDVD発送を実施した。

  〇毎日新聞社の委託により、世界盲人連合に加盟するアジア・太平洋地域、西南アジア地域、EU地域、北米地域で行われたオンキョー点字作文コ

  ンクールの窓口諸事務、入選作の翻訳などを行った。

5.広報活動

  〇維持会員および協会支援者に対して、会報『ロータス通信』を年間6回(第279号から284号まで)編集・発行した。

  〇立川福祉基金の助成を得て、『白い杖の留学生』第2弾として「ミャンマー編」を作成、関係者・関係機関に贈呈した。

  〇東京中小企業家同友会、首都大学東京ダイバーシティ推進室、AOTS友の会でIAVI事業紹介の講演をしたり、会員の藤嵜政子さんのご紹介で、

  スリーエーネットワークの機関紙『Ja-Net』第83号にIAVI事業の紹介記事を掲載させていただいた。

6.他団体との交流、慶弔等

  〇板橋区視覚障害者福祉協会60周年記念式典、全日本視覚障害者協議会50周年記念レセプション、日本キルギス友好25周年記念式典、キル

  ギスの全盲歌手・グルムさんのコンサートなどに出席して、関係者との交流・親睦を深めた。

  〇毎年お世話になっている「桜井記念視覚障がい者のための手で見る博物館」を塙保己一賞貢献賞に推薦し、受賞式に列席して川又館長母娘と喜

  びを分かち合った。また大賞の指田さんのお祝い会にも出席した。

  〇バス旅行など、留学生の活動を後援してくださっていた安達雅子理事のご主人が亡くなったため、葬儀に参列し弔意を表した。

7.財産管理・備品整備

  〇特記事項はなし。

8.収益事業

  〇駐車場の運営はこれまで通り、車4台、オートバイ3台、自転車1台の契約を継続している。

9.「地の塩基金」

  〇帰国留学生の支援を目的とした「地の塩基金」の具体的運用の一環として、ラオス支援(白杖・点字盤の提供)および韓国・モンゴル等10ヶ

  国に卒後鍼灸手技研究会のDVD・点字資料の送付を開始、また台湾でのマッサージセミナー等への補助を行った。         

                                                             以上

    資金収支報告書.pdf

 事業活動計算書.pdf

 貸借対照表.pdf

 

★ご支援くださった皆様へ 感謝のページ★

 29年度(29年4月1日?30年3月31日)も、大変お世話になりました! 厳しい経済状況の続く中、多くの皆様からIAVIの運営のためご寄

付いただきました。役職員一同、心より感謝申し上げます。感謝に添えて、29年度にご寄付下さった皆様のお名前を、五十音順で掲載させていただ

きます。尚、大変ありがたいことに、年間を通じて複数回に亙ってお振り込みくださった方々が数多くいらっしゃいますが、その点は恐縮ですが、省

かせていただきました。又、紙面の関係で敬称を省略させていただきましたことをお詫び申しあげます。尚、匿名でのご寄付もありました。本当に、

ありがとうございました。

個人様

(あ)相澤満  赤木達男  浅見清  安達雅子  阿部純子  阿部元子  新井愛一郎・律子  有賀実男  飯村洋子  葉 華

池田俊二  井崎倫子  石井薫  石川菊江  石田拓  石渡博明  泉義明  市川悟  伊藤真一郎  伊藤忠一  伊藤登志基  

井上一夫  猪平眞理  今井鍵三  岩崎正 岩村恵子  上野己美子  上野多美子  卯嶋義司郎  内田順朗 梅澤比芙美  梅原祥子  

江口美和子  戎井人志  遠藤文朗  遠藤眞喜子  大川豊  大木輝子  大越伊津子  大?百合子  大島幸夫  大谷吉弘  

大谷隆一・正子  岡島美都里  岡野三郎  岡本恵美子  緒方伸彦  荻原信子  奥村雄輔  小沢 恒二

(か)甲斐建一  鍵村桂子  景山あき子  片寄健司  加藤郁雄  加藤友子  兼子光枝  金子雅一  鎌田多恵子  川口卓朗  

河瀬修一  川副紀美子  河本昭三  川又正人・若菜  神 勝仁  菊島和子  菊地竹男  菊地みつえ  岸栄子  木村愛子  

清野陽子  清原順子  草野実枝子  草場直子  国井恵美子  窪田進  熊懐 敬   兼目 忍  古賀副武  児島宏子  小林孝信  

小林美恵子  小林良子  五味哲也  

(さ)斉藤陽子  酒井正  坂井友実  坂尻正次  坂本啓子  鷺森功  桜井文子  迫玲子  佐々 揚  佐々井憲作  佐々木誠子  

佐藤賢明  佐藤敏子  佐藤容子  始関貴恵  篠崎八恵子  渋谷尚子  嶋田和子  島田金幸  島田治夫  清水佳子  清水政直  

下川悦子  白井康晴  新谷節子  進藤いつ子  須賀孝子  杉田司郎  鈴木義則  鈴木美枝子  鈴木文子  鈴村邦子  

須之内桂子  須原ひとみ  角倉典彦  関口祐子 

(た)高木宏  ?田美枝子  高橋恵子  高橋秀樹  高橋秀治  高橋博子  高安健一  高柳晶子  田口寿恵子  田窪いつ子  

竹内昌彦  竹下亘  田中悟朗  田中正和  田中吉野  田辺藤祐  谷口春子  田沼圭介  ダン クンチャン  丹野功一

崔 錫允  千葉寿夫  築城巌  筒井正和  恒本藍子  角田桂子  寺尾瑞香  戸倉由紀枝  戸床マスエ

(な)中澤進  永島美記子  中西明美  中野英子  中村和子  中村實枝  新村栄  西澤幹夫  西田美代子  西村健吾

西村浩生  布川康平  根岸伸樹  野沢順子  野尻誠 乗松利幸

(は)芳賀優子  長谷川好文  畑千尋  波多野栄子  八田暁子  林 律  春田泰文  東野光子  肥後実枝子 飛田直子  

秀村研二  平田麗子  深澤靖子  福山博  藤嵜政子  伏見美智子  藤本篤子  藤原健司  淵岡吹次  北條偕子  星野敏康  

星野容子  堀和子  本間昭雄  

(ま)松井はるみ  松田信治  松田俊昭  麻那古恵子  眞山靜子 圓山節子 水野宏子  三宅和代  宮島忍  三輪利春  村松謙  

望月優  森まゆみ  森幸子

(や)安岡秀美  安川糸子  安村洋子  矢部健三  山縣修  山口和彦  山添和夫  山田けい子  山田裕子  湯川れい子  

横山仁雄  横山邦彦  吉田明泰  吉成宏太  米山衣江

(ら) ロ キン

(わ)和田彰  渡部利一  和田絢子  渡辺萬里子  渡辺勇喜三  和波孝禧  

匿名 51名

団体・法人様

NPO法人尼視協  株式会社アレックス  イーデーエム株式会社  板橋法人会第4支部  柏市視覚障害者協会  サンライズジャパン

ジュエリーボックス   東京家政学院大学光塩会東京支部  蓮沼東町会  平田内科クリニック  福田元三郎商店  

有限会社プレイス                                                 以上

 

◎台湾は熱気と明るさに満ちていた◎  ―按摩研修会とIAVI支部結成?

 3月16日?17日、元IAVI留学生で台湾の理療教育に25年にわたり尽力してきた謝 瑛昌(シェ・インチャン)さんが、財團法人愛盲基金會の事

業として企画した第一回台日治療按摩研修会が、愛盲文山教室で開催され、新井・大谷の両理事が参加しました。

15人の理療従事者や教師達に藤井亮輔先生が二日間つきっきりで技術指導され、謝君の同時通訳も大変素晴らしいものでした。藤井先生は「とにか

く皆さん熱心で、一つ残さず吸収しようという姿勢にびっくりした」と感想を述べられていました。

 この研修会はIAVIが謝君の留学支援を行い、その成果を生かして台湾の視覚障害者の自立のために盲学校で働いた謝君の活動をさらに発展させるも

ので、IAVIの目的を明確に表現した活動でした。

 また、17日の夜には、謝さんと、元IAVI留学生の林明輝(リン・ミンフィ)さん、詹明松(セン・メイショウ)さんも来ていただき、楽しく交流

しながら、IAVIの台湾支部も結成しました。今後、蔡静如(ツァイ・チン・ル)さんが日本で理療を勉強して帰国し、台湾支部もにぎやかになること

と思います。今から楽しみです。

 

≪スイェンさん、ベトナムへ帰国≫  日本での勉強を生かして頑張ってください!

 スイェンさんはマッサージの国家資格取得後もベトナムで勉強を続け、鍼・灸の国家資格を取得、その後、筑波技術大学大学院での研究を終えて、

5月12日にベトナム(ハノイ)に帰国しました。多くの皆様の温かいご支援をありがとうございました。たくさんのご恩を宝として、今後はベトナ

ムで元気に活躍してほしいと思います。

 IAVIとしても現地での頑張りにこたえながら、新たな支援をしていきたいと思います。

☆本号の写真

?藤井先生の指導と謝さんの同時通訳で熱心に勉強する

マッサージ.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?成田空港で、筑波の生活でお世話になった前島さんと見送り

空港でお別れ.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=業務日誌=

2月 2日  リンさん・シズさん、職能開発センター見学。

2月 5日 アクモールさん、技大受験結果発表(合格)。

2月 6日 新井・庄・芳賀、共用品推進機構ヒヤリングに協力。

2月 9日 シズさん、筑波技大見学。

2月11日 卒後鍼灸手技研究会役員会に出席。

2月15日 『ロータス通信』第284号、発送事務。おたがいさまネット月例会に参加。

2月17日 リンさん・シズさん、中華街・春節を見学。

2月22・23日 リンさん・シズさん、盛岡へ研修旅行。

2月24日 リンさん・シズさん、日本語スピーチ大会に参加。ミンラインさん・コーコーさん、清水町見本市に参加。

2月25日 アクモール・ツェーネ・ヨフィタさん、国家試験受験。

2月27?3月2日 リンさん、筑波盲体験入学。

3月11日 リンさん・シズさん、板橋区総合防災訓練に参加。

3月13・14日 リンさん・シズさん、浜松へ研修旅行。

3月15日 アクモールさん、筑波附属盲卒業式。おたがいさまネット月例会に参加。

3月16・17日、台湾マッサージセミナー(藤井・新井・大谷)。

3月24日 卒業・入学・進級・進学お祝い会(24名)を開催。

3月29日 IAVI予算理事会を開催。

3月30日 ジュエリーボックス(浦安)と交流会。

3月31日 シズさん台湾へ帰国、見送り。

4月 5日 筑波技大入学式(アズリンさん、ニャマフーさん)。

4月 6日 アズリンさん母娘、一枝のゆめ治療院見学、宿泊。

4月10日 筑波大附属盲入学式(リンさん)。

4月17日 文科省に報告書提出。

4月19日 おたがいさまネット月例会に参加。


 



社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会(IAVI):https://iavi.jp/

〒174-0052 東京都板橋区蓮沼町20-18

電車でお越しの方:
都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅下車
「A1」出口を右に出て一つ目の信号を右に曲がり、右手3軒目。徒歩3分。

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