NO.258

      2024/02/27

新しい国の新しい留学生がやって来ました

理事長 石渡 博明


 『ロータス通信』前号でも簡単にご紹介させていただきましたように、今年度の留学生、キルギスからシリンさん(女性・26歳)、ウズベキスタンからサーシャさん(男性・32歳)のお二人が、去る9月28日、日本へやって来ました。どちらも初めての国からで、JICAシニアボランティアおよび専門派遣員のご紹介によるものです。
 尚、これまでご紹介できていませんでしたが、来年4月からの盲学校専攻科での本格的な勉強に向けて例年のように、日本語・日本点字を飛(ひ)田(だ)直子・北條偕子・水谷洋子・米山衣江・鈴村邦子・森幸子の各先生、生活訓練・歩行訓練を鈴木文子・木村仁美の各先生に、ご担当いただきます。また、ドタキャンが出たりで、対応に苦慮しましたが、舟橋会館での6ヶ月、炊事や身の回りのお世話を関口祐子さん・寺林公子さんとアイ・ケアセンター畑(はた)の皆さんが交代で担当してくださいます。
もちろん、役員・職員も一丸となって、留学生の日本での生活・勉学を支えていくものです。

≪速報:2013年度新留学生来日
                                                  ご挨拶を一言≫

9月28日に来日して間もない9月30日に、二人に自己紹介を書いてもらいました。この記事を読む頃には、日本語、日本点字などの集中した勉強が行われていることと思います。(原文は点字、一部訂正済み)

★ズロディーヴ・アレクサンドル(ウズベキスタン)
 はじめまして。私は、サーシャです。
ウズベキスタンから来ました。私は32歳です。わたしの家族は4人です。両親と祖母と私です。わたしの家族は犬がいます。わたしはスポーツが好きです。どうぞよろしくお願いします。
                         
★ジョロベコヴァ・シリン(キルギス)

258-1.JPG
 はじめまして。わたしの名前はシリンです。どうぞよろしくお願いします。わたしはキルギスから来ました。キルギスの自然が美しいです。
キルギスの首都はビシュケクと言う町です。ビシュケクは緑が多くて、きれいです。 わたしの家族は7人です。母と兄と、姉が4人います。母は年金生活者です。母と姉はカラバルタと言う町に住んでいます。わたしの趣味は音楽を聴くことです。時間があったら、自分でギターを弾きながら歌を唄うのと、本を読むのが好きです。
 わたしの夢は日本でマッサージについて勉強して、キルギスに帰った後、人々の病気を治して、そしてキルギスにマッサージ技術について伝えることです。

                                                            

 

        ◎留学の成果を生かして◎   
                              ダムディンツェレン・ニャマフー
                             (モンゴル ウランバートル在住)
私は、モンゴル出身のニャマフーと申します。去年三月に筑波大学附属視覚特別支援学校鍼灸手技療法科を卒業しました。モンゴルに戻って来てからやっていることを、かんたんに書かせて頂きます。
モンゴル盲人協会に所属する何箇所かの施設の中で、私がいるのは職業訓練センターです。そこには、マッサージの2種類のコースがあって、私が担当しているのは、医療マッサージクラスでした。1年間くらいの期間で10人の学生を担当し、医療按摩、解剖学、治療学、東洋学、経穴学などの授業などを教え、臨床研修も短い期間でさせて頂いております。私は、来てからちょうど一年間になっているので、卒業させたのは、もちろん1クラスだけです。うちで勉強された学生が卒業したら、盲人協会に所属しているベストマッサージセンターでマッサージ師として働くのです。ここで少なくて3年間くらい働いたら、本人がもし個人マッサージセンターを開きたいと思えばそれも可能です。
ですから、現在ウランバートルでは、ベストマッサージ18番まで出来上がっております。このベストマッサージで1番と3番だけがモンゴル盲人協会に所属しているのですが、ほかのすべてが個人センターになります。
私は、医療マッサージを教えるほかには、ベストマッサージ1番では、日本で学んだ鍼灸や按摩マッサージなど治療的なことを、授業がないときに予約制でさせていただいているのです。私が卒業したのは筑波大学附属視覚特別支援学校なんですが、「筑波大学校」という名前が世界中有名なので、筑波大学を卒業したように思ってしまう人が沢山います。それで、日本で勉強した凄い偉い先生なんだと勘違いされながら、治療を受けるお客さんも少しずつ訪ねてきております。どうにか、日本で学んだことを基にして少しでも役に立つことができたらと考えて頑張りたいと思っております。
私の治療している部屋の中を少しご説明させて頂きますと、まずベッド一つ、鍼灸やイタノールとマッサージオイル、按摩に使う手ぬぐい、かご、いすなど。壁には、国試に合格して、もらった鍼、灸、按摩マッサージ指圧免許がモンゴル語の翻訳と一緒に貼ってあります。恥ずかしいのですが、これをみると患者さんは、感動されるようなのです。もちろん、私が学校で学んだこと以外にはなにもできないものなので、やれることは、やりますし、できないことはできないとお断りすることもあります。
258-2.JPGこの他には、私の好きなことは日本語を使ってなにかをすることです。例えば、通訳。日本とモンゴルと両国の間に日本語を使って連絡したりすることです。去年からは、日本から3回くらいお客さんが来られ、それに私は通訳をやらせて頂きました。そうすると、一般的な日本語も覚えるし、マッサージだけじゃなくていろいろな人との関係が増えるので、とても楽しみな活動になっています。 
一番最後に、日本から日本盲人会連合スポーツ協議会のお二人が来られて日本で多く行われている視覚障害者の何種類かのスポーツを紹介し、モンゴルで中心にやれているゴールボールを実際にしました。このほかにモンゴルでどういうスポーツがこれから進めて行くかなどの沢山の交流会ができてとても有効な時間でした。
日本のみなさんに面白いかもしれないと思いな がら、短いのですが、この話をさせて頂きました。                                          

 

≪海外で安心して行けるマッサージ店の紹介≫その1
―元留学生にも会えます― 

 皆さんは、海外旅行で、疲れてマッサージを受けることはありませんか。もし、そのお店が、日本で勉強した留学生が帰国して働いていたり、経営しているところでしたら、どんなに楽しいでしょう。留学生も日本語が話せて、きっと嬉しいことだと思います。
台湾、韓国、モンゴル、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、
ラオス、ミャンマー、ブラジル、ケニア等と、皆さんに協力していだだき、リスト作りを始めます。当面は『ロータス通信』で毎回一箇所ずつ紹介をしていきたいと思います。

台湾:詹(セン)さんに会えるお店


日本の皆さん。詹です。お久しぶりです。
  私の店は台北にあります。大きい店ではなく、友達と私の二人スタッフしかいない小さな店です。本店は予約制です。予約は午後6時前に日本語で予約できます


店名:活力健康按摩館
値段:1時間 800台湾元
連絡先:詹(セン)明松(メイショウ) 0966?175?554 
住所:新北市板橋区双十路三段70巷2号
交通:台北地下鉄MRT板南線江子翠駅出口1から歩いて4分

◎元留学生とSkypeで
   お話ししてくださる方を募集します◎

私、新井と元留学生の皆さんとの交流はこの3年くらいで随分広がりました。一番の理由はインターネット会話の「Skype=スカイプ」で電話代を気にせず、海外の方とお話できるようになったからだと思います。
この4月からスタートした、モンゴル、韓国、台湾、マレーシア、インドネシア、ラオスの元留学生に援護協会連絡員として活躍してもらうプランも、このSkypeで会話が楽にできるようになったことが大きいと思います。
元留学生の皆さんは、日本語をしっかりと身につけていますので、帰国して20年たった人も、もちろん日本語ができます。もっと日本語が勉強したい人、日本の視覚障害者事情をも知り、視覚障害者同士の交流をしたい人、また、新しい日本の理療の現状を知りたい人・・。元留学生にはいろいろな興味があります。
援護協会としても行いますが、もっと多くの皆さんが、この交流の輪に参加していただくと楽しいと思います。日本語能力検定試験のための勉強をかねてお話したいという人もいますが、とにかく日本語でお話ししたいというケースが多いです。「日本語を使わないと、細かな表現の仕方を忘れる」という声を、彼らからよく聞きます。
彼らは皆さん仕事をしていますし、時差のあるところもありますし、こちらの都合の良い時にいつでもお話できるというのではなく、彼らの都合に合わせてということですが(このことは、働き盛りの彼らですから結構大変です。)。
とにかく、海を渡ってのお話のネットワークをスタートしてみたいのです。Skypeの環境があることが前提ですが。ご連絡をお待ちしています(担当は、事務局の新井です)。
 
 ≪中国茶の文化に触れる≫を
援護協会で開催させていただいて 
       
                     庄 麗(元中国留学生 川越市在住)
9月14日(土)に、援護協会の3階で「中国茶の文化にふれる」と題したセミナーを開催しました。このセミナーの主催団体「日中視覚障害者文化交流プロジェクト実行委員会」は、日本と中国の視覚障害者がお互いの国の文化をより深く、より優しく理解できる場をつくることを目的に日本点字図書館の田中理事長、美織さんご夫妻と立ち上げたものです。昨年初めてセミナーを「着物とチャイナドレス」をテーマに開催いたしました。第2回目の今回のセミナーは、日中双方に長年親しまれているお茶に関するものにしたいと考え、「中国茶」をテーマにしました。 
中国茶にはたくさんの種類がありますので、このセミナーでは、香りと味に特徴のある物を講師の方が選んでくださいました。2種類のジャスミン茶、ウーロン茶、プーアール茶、季節のお茶「菊茶」、それから2種類の「工芸茶」です。
講師の方のわかりやすい説明に加えて、参加者には、お湯を注ぐ前とお湯を入れた後、お茶の葉っぱの形を確認してもらったので、味や香りだけでなく種類ごとに異なる茶葉の変化をよりわかりやすく実感していただけたのではないかと思います。味だけでなく、お湯を注いでお茶の葉の変化を楽しめる工芸茶について、試飲時間がなかったですが、その名の通りの工芸品のような美しさを、参加者に1対1で紹介しました。
20人余り集まった会場全体が次から次と、バラエティーに富んだ優しいお茶の香りに包まれ、とても和やかな雰囲気になりました。そのせいか、美味しいお茶を味わいながらも、参加者の皆さんは、普段思っていた中国茶に関する疑問点を、気軽に講師の方に質問していました。講師の方の説明に、「なるほどー」とか、「お茶は奥が深いねー」といった感想の声が弾んで、また、時には笑い声もあり、賑やかな勉強会にもなりました。
あっという間に時間が経ってしまい、参加者の話がつきませんでしたが、時間の関係で終了となりました。終了後さらに、メールで感想をお送りしてくださった方もいました。例えば、「ジャスミン茶は大好きで、友人にお願いして中国で購入してもらったこともある。香りが良く、花が混ざっていたのでとても、高級だと思い込んでいた。でも少し違うようだ・・・」などです。
初めての試みでしたから、開催前は頭の中でのシュミレーション通りうまくいくか心配しましたが、終わってみると、このように手ごたえがあり、大成功だと思っています。
今回の企画の実現に当たり、いろいろな方からご支援ご協力をいただいております。中国茶の講師は友人の安那美香さんが無償で引き受けてくださいました。西荻窪にあるお店「サウスアベニュー」を切り盛りするかたわら、お茶の道具から、茶258-3.JPG葉、茶菓子、さらに使う水のことまで、参加者全員分のものを全て安那さん一人で手配してくださいました。宣伝について、昨年同様「点字ジャーナル」の編集部の方々にお世話になりました。なにより、今回は援護協会石渡理事長と新井理事に、もっとも感謝しなければなりません。打ち合わせの段階からいろいろお手数をおかけいたしました。主催側として、まだまだ反省すべきところ、不十分なところがたくさんありますが、それらを改善しつつ、これからも頑張って行きたいと思いますので、今後ともみなさまのご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。                  

              ★訂正とお詫び★
「ロータス通信」No.257に掲載させていただきました芳名簿に記載漏れと分かり

にくい記述がありました。
○清原 順子様(記載漏れ)
○光塩会様:正式名称「東京家政学院大学光塩会東京支部」様
大変ご迷惑をお掛け致しました。ここに訂正とお詫び申し上げます。
今後このようなことの無いよう充分注意いたします。

◎連続講座「日本とアジアの視覚障害者事情」
                              第3期第2回◎

日時:2013年11月16日(土) 13:30?15:30
内容:ヘルスキーパーの仕事について、実際に民間企業でヘルスキーパーとして働いている講師にお話をしてもらいます。各国での可能性なども考えてみます。
講師:千木良(ちぎら)賢二氏
場所:国際視覚障害者援護協会「舟橋会館」3F 多目的室
(板橋区蓮沼町20?18 都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅A1出口下車徒歩3分


定員:30名(定員になり次第締め切ります。お申し込みは、お電話または e-mailにてお願いします)
連絡先:03?5392?4002/ e-mail:info@iavi.jp
会費:無料
主催:社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会
後援:社会福祉法人 板橋区社会福祉協議会

≪2014年新年会のお知らせ≫
少し早めですが、ぜひ日程に入れておいてください。詳しくは次号で。
2014年1月11日(土)11時から14時まで。
ミャンマー料理店を予定しています。

=編集後記=
新留学生の入国介助の報告は次号をお楽しみに。今号では、二人が援護協会での勉強を元気にスタートしたことだけお伝えします。協会の周りも金木犀の甘い香りでいっぱいです。秋の旅行には台湾でもいかがですか。旅の疲れにはセンさんのお店で足裏マッサージでもゆっくりと受けてみませんか(愛)

=業務日誌=
8月 5日 新年度留学生受け入れに向け、寮母さんと打ち合わせ。
      文科省に決算書送付、ハローワークに求人申し込み。
   8日 スイェンさんの順天堂病院受診に付き添い。
      新井理事、ご母堂逝去。
8月10日 『みんなの日本語』? 語彙帳ロシア語テープ版録音
(高橋睦子さんのご協力で)。
8月12日 事務局、夏休み。
  ?16日 
 8月17日 スイェンさんの受診付き添い。
 8月19日 (株)アープ、田中さん来館。
 8月20日 キルギス引率へ向け、松田さん・植草さん来館。
 8月21日 『ロータス通信』第257号発送(おたがいさまネットワークの

皆さんのご協力で)。
おたがいさまネットワーク月例会に参加。
 8月23日 臨時理事・評議員会。
 8月26日 スイェンさん、筑波盲へ移動。
『東京新聞』村松さんと打ち合わせ。
 8月29日 ウズベキスタン大使館にビザ申請。
8月31日 留学生、夏休みを終え、日本へ帰国。
?9月1日
 9月 2日 寮母さん、新規面接。
 9月 3日 日本語講師打ち合わせ。
       サーシャさん、スカイプで日本語学習(7・10・12・14・17・19日)
 9月 4日 庄麗さんたち、舟橋会館を下見。
       板橋社会福祉大会参加、抽選申し込み。
 9月 7日 連続講座「アジアの視覚障害者事情」第8回を実施。
       留学生交流会。
9月 9日 法務局へ届け出。
?10日 日盲社協創立60周年記念大会に参加。
     ウズベキスタン大使館でビザ取得。
 9月14日 庄麗さんたち、「中国茶を楽しむ会」を開催。
 9月18日 おたがいさまネットワーク月例会参加。
 9月21日 スイェンさん受診付き添い。
マンダハさん、来館・宿泊。
 9月22日 松田さん・植草さん、キルギスへ入国介助に出発。
 9月23日 新井・石渡、ウズベキスタンへ入国介助に出発。
 9月28日 シリンさん・サーシャさん、来日。
 9月29日 シリンさん・サーシャさん、生活訓練・オリエンテーション(ロシア語通訳・佐藤賢明さん)開始。
       『東京新聞』村松記者の取材。
 9月30日 シリンさん・サーシャさん、住民登録ほか。
10月 5日 トケ・トスカーナ、IAVI支援コンサートに参加。
       いたばしまちの学校に参加

◎『ロータス通信』への
広告掲載をお願いします◎


『ロータス通信』は年6回、偶数月に発行しております。墨字版だけではなく、点字版やテープ版も発行しております。今後、読者参加の紙面づくりに力を入れていきながら、さらに各方面に会員・読者も広げていきたいと考えております。
それと共に、財政的な基盤作りの為に、企業・団体の皆様に、ぜひとも広告掲載をお願いしたいと思います。
広告掲載費(いずれも1年間)
1ページ=5万円 半ページ=3万円
なお、毎回でない掲載方法もありますので、何なりとお問い合わせ、ご相談ください(お問い合わせ:新井まで)。

〒174-0052 東京都板橋区蓮沼町20-18
電話03-5392-4002 FAX03-5392-4128
e-mail:info@iavi.jp  



社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会(IAVI):https://iavi.jp/

〒174-0052 東京都板橋区蓮沼町20-18

電車でお越しの方:
都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅下車
「A1」出口を右に出て一つ目の信号を右に曲がり、右手3軒目。徒歩3分。

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