NO.253

      2024/02/27

2012?12?24発行

来年こそ良い年にしていきましょう!!
    
理事長 石渡 博明

 本誌が皆様のお手元に届く頃は、衆議院議員選挙、東京都知事選挙の
結果も出て、新しい日本の顔、新しい東京の顔も決まっていることと思われます。せっかくの年末選挙ですから、前向きな気持ちで新年が迎えられるような顔であってほしいと、願うばかりです。
 10月にお迎えした2012年度の留学生二人は、来日直後といってもいい11月6日に行なわれた筑波大学附属視覚特別支援学校鍼灸手技療法科の推薦入学試験に二人とも無事合格、4月からの進学先が決まり、先生方のご指導よろしきを得て、入学に向けて日本語・日本点字のブラッシュアップ、日本の生活訓練、歩行訓練に励んでいます。
 2013年が皆様にとって良い年でありますよう祈念しますとともに、
例年のお願いで恐縮ですが、アジアの視覚障害留学生のため、協会財政強化のため、年末のご寄付をよろしくお願い申し上げます。


◎入国介助を終えて◎

1. ベトナム元留学生の頑張りに感激 
コアさんも元気で頑張ろう     理事 大谷 正子


9月27日から、事務局の新井さんと今年度の留学生のコアさんの入
国介助のためにベトナムのホーチミンに行って来ました。
コアさんの家族は、農業をしていらっしゃるお父さんと253-1.JPG幼稚園の先生をしていらっしゃるお母さんと、ちょっと年齢の離れた弟さんがいらっしゃいます。面接の日、コアさんとそのご両親と弟さんがいらっしゃいました。事務局の新井さんが、いろいろ説明をしている間、どの留学生も同じですが、ご両親が、特にお父さんが真剣に聞いていらっしゃいます。また、おかあさんは知らない国日本に行って大丈夫だろうか、と心配と寂しさを強く思っていらっしゃることが感じられます。しかし、説明を聞いて安心したご両親が、何度も何度も、「コアを宜しくお願いします。」と頭を下げていらっしゃいました。
面接が終わり、盲人協会や盲学校などを見学した後、今回は、以前、帰国した留学生の二人に会うことが出来ました。  
一人は、タン君です。
彼は、今マッサージ室を経営しています。7?8人位の全盲、弱視の人たちを使って、経営者になっていました。「視覚障害の人たちの働く場所を経営することは大変だし、許可を取ってここまでするまでが本当に大変だった。」と言っていました。彼の着ていたユニフォームのシャツの胸の刺繍は、両手を広げた手の上にピンクのハートがあり、そのハートの中にベトナムの国旗の黄色い星があり、その中に、お世話になった日本の国旗の赤い日の丸がありました。タン君に、「これを見てください」と刺繍の意味を聞いた時は、目頭が、熱くなり、「タン、みんな、みんなに感謝ですよ。その気持を忘れないでね」と、いつしか母親の気持ちになっていました。
もう一人は、ビン君です。彼は、ホーチミンから北の方にある、ニャチャンと言う所で、1日多い時は7人位マッサージをしているそうです。今は、双子のお父さんです。彼も、「日本で勉強させていただいたことをとても、感謝しています」と言っていました。
タン君もビン君も、「また、日本に行きたいな」としみじみと話していました。その内、帰国した今までの留学生たちみんなを日本に呼んで、会ってみたいと思いました。
私は、7年前ホーチミンに行きました。その時と変わったのは、女性でした。ベトナムは、昔からアオザイと言う民族衣装を来て、黒髪を後ろの下の方で、ポニーテールにしていたのですが、今の若い人たちは、日本と同じ、ジーンズにTシャツ姿に、黒髪はカラーやパーマをしている人たちが多かったです。また、若者は結婚しても、日本と同じ核家族をほとんどが望んでいるそうです。
町は、やはりオートバイが多く走っているので、マスクをしている人が沢山います。また、車道と歩道の段差が30センチ位あり、信号があまり無いので、盲人には大変です。でも、タン君もビン君も白杖を前に突き出すようにして、強引に横断していました。いつも、留学生たちが、「日本は歩きやすい」と言っている意味が、よく分かりました。
30日の夜、日本にコアさんが出発する日、親戚、友達、大勢の人たちが見送りに来てくださいました。みんなの期待に見送られてきたコアさんです。これから日本の皆さん、宜しくお願い致します。

2.コアさんの留学終了を待つ各施設
訪問した施設で感じたこと    理事 新井 愛一郎


・ホーチミン盲人協会
マッサージの指導をする人が少ないことが課題のようです。是非ベトナムにマッサージを教える人を派遣して、ベトナムでマッサージの教育ができるようにして欲しい。是非このことを日本に伝えて、具体的な方策を考えて欲しいと言われました。
・グイェン ディン チウ(NDC)盲学校
子供達の元気で、明るい声がすごく印象的でした。この国の未来が子供達に託されているんだ、としみじみ感じました。
学校で先生の指導の下、子供達が作った装飾品をいくつか購入しましたが、日本に帰ってすごく人気でした。


・サオマイ盲人コンピューターセンター
盲人のためのコンピューターを教える施設。お休みということもありがらんとした施設には、コンピュータだけがさびしそうに並んでいる。  
最近はこの施設で基礎を習った視覚障害者が周囲の視覚障害者に教えるようになってきたので、この施設にはあまり習いに来ないということでした。パソコンを活用して仕事をするような人がいないため、基礎以外にパソコンを勉強する人は少ないという。職業に役立つパソコン活用のための指導が、このような施設でどんどんと行われれば良いのにと思った。
 

・マイアムティンアン(MATA)
コアさんもここで勉強した施設です。明るく充実した施設ですが、なにより所長のフォン先生の優しさが印象的でした。先生の号令で楽器を持って集った生徒さん達が「日本から来たお客様に」とベトナムの楽しいリズムの音楽演奏をしてくれました。そして、それは「コアさん頑張ってきて!」の送行会になっていました。
別れ際に、「私も日本で勉強がしたい!」と駆け寄ってきた青年が印象的でした。

 

3.バンドンの盲学校を訪問
                      事務局 篠田 佐知子

今回の入国介助で通訳をお願いしたのは、プトゥル・ウィウォホさん。日本留学後、公務員として採用されバンドンの盲学校で教師を務めている。253-2.JPG日本での鍼灸、マッサージの教育を受けたことで視覚障害者として採用される結果となったという。バンドンの盲学校では、指圧の治療院とマッサージの治療院の二つの施術所が開設されている。指圧はもちろん日本式。経絡・経穴は日本語で教えている。先生はもちろんプトゥルさん。マッサージセンターにて2年間研修を受けた卒業生がメインで施術に務めている。患者さんには日本人の方も多くいらっしゃるとのこと。現地でのさらに本格的な日本語の学習が必要であるという。


最終面接に緊張するヨフィタさん
盲学校の校長室にて最終面接を行った。保護者としてヨフィタさんのお兄さん。後見人として校長先生はじめ職員の方が立ち会った。
校長室での面接に緊張するヨフィタさん。緊張のあまり日本語がでてこないヨフィタさんも時間の経過とともに思い出すように話し始めた。
日本での本格的な授業で完成されていくであろう日本語力を期待し、面接は終了した。


スンダ料理
マリアン校長、プトゥルさん、運転手さんも含めて昼食を。スンダ料理は、バンドンの名物料理とのこと。バンドンの料理はおいしいと評判で、休日にはジャカルタからも車を飛ばして食べに来るという。バンドンから高速でジャカルタへ。


ジャカルタの盲学校訪問
指圧の治療施術。ここでも経穴は日本語中心で学んでいる。生徒さんたちはもっと詳しい本格的な勉強を学びたいと口々に希望していた。バンドンでもジャカルタでも、できれば日本から指導に来てほしいとの要望がでる。
国立の盲学校近郊で新たに治療院を開設した、アグス・ピトヨさんと合流。帰国留学生を中心に発足した点字会財団の現状やョフィタさんへの激励を含めて懇談。アヒルの肉料理をいただく。鶏肉よりも食されつつあるとのこと。
さっきまで家族や先輩に囲まれていた状況から一転。ひとりとなって搭乗を待つばかりのロビーのヨフィタさん。その胸の決意というものは計り知れないけれど、3年半後に笑顔でこのジャカルタ空港へ降り立ってほしいと願うばかりであった。

◎新留学生からのご挨拶◎
グエン・ダン・コア(ベトナム)


  私はコアと申します。ベトナムからきました。
10月1日、日本へきました。今、日本の東京都板橋区にある国際視覚障害者援護協会に住んでいます。ここでは日本語と歩行訓練を勉強していて、そして日本の按摩と鍼灸を勉強したいんです。盲学校を卒業してから、ベトナムに帰ります。その時、ベトナムの盲人に日本の按摩と鍼灸を教えたいと思います。是非がんばります。
私の家族は4人です。両親と弟が一人います。みんなベトナムに住んでいて、元気です。私の父は55歳です。農業の仕事をしています。背が高くて、親切で楽しいです。毎朝早くおきてから掃除します。時々市場へ行って料理を作ります。趣味は旅行へ行くと歌を歌うことです。毎晩ご飯を食べるとき、お酒を少し飲みます。 253-3.JPG
私の母は51歳です。教師で幼稚園で教えています。母は優しいし、親切だしそれに敬虔です。毎朝いつも学校へ行って、趣味は本を読むとカラオケを歌うことです。毎日料理を作っています。ですから、料理が上手です。
私の弟は8歳です。小学校で勉強しています。細くて楽しいです。趣味は本を読むとサッカーをすることです。私はとても私の家族を愛しています。

ヨフィタ・スルヤティ(インドネシア)


私はヨフィタです。インドネシアからきました。25歳で趣味は読書です。どうぞよろしくお願いします。
 10月1日に日本へ来ました。今国際視覚障害者援護協会で月曜日から金曜日まで日本語を勉強していて、土曜日は日本の文化と歩行訓練をしています。11月8日筑波盲学校の入学試験に合格して、4月に盲学校入ります。それでは鍼灸と日本の按摩と指圧とマッサージを勉強したいです。盲学校を卒業したら、国へ帰って視覚障害者を教えるつもりです。
私の家族は12人です。母は60歳で元気です。毎日色々な仕事をしていて、野菜を作ったり、市場で売ったりします。妹はうちで母を手伝っていて、時々フロレスの布を織ります。1番目の姉と2番目の姉と3番目の姉と4番目の姉は結婚していて、フロレスに住んでいます。5番目の姉も結婚していて、カリマンタンに住んでいます。1番目の兄と2番目の兄は結婚して、カリマンタンに住んでいます。1番目の兄は働きながら大学で勉強しています。2番目の兄は会社で働きます。3番目の兄は結婚していて、バンドンに住んでいます。弟は大学で勉強しています。もし休みの日あったら両親のうちへ帰ります。今3年生で来年卒業すると思います。
私の家族はみんな元気でコーヒーが大好きです。クリスマスの日はいつも両親のうちで集まっています。コーヒーを飲みながらクリスマスの歌を聴きます。楽しくて幸せです。私はいつも家族が愛しています。

≪2013年 IAVI新年会のご案内≫
?インドネシア料理を満喫しながら?
2013年新年会は例年と一味違って、インドネシア料理を食べながら、留学生の皆さんと楽しい一時を送りたいと思います。おなかをすかせておいでください。留学生との交流とともに、アジアの食を体感してみませんか。
日時:2013年1月19日(土) 13時?15時
場所:ジュンバタン・メラ (インドネシア料理)
新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワーB1
電話:03-5323-4242
交通:地下鉄丸ノ内線西新宿駅 徒歩1分 
地下鉄都営大江戸線都庁前駅 徒歩4分
会費:4,000円  
定員:60名(お申し込みお問い合わせは事務局まで。電話かメール
でお願いします。なお、予約の関係で、お申し込みは1月10日までにお願いいたします。)
電話:03-5392-4002 FAX03-5392-4128
e-mail:info@iavi.jp


≪地域の防災訓練に参加します≫
2月3日午前10時から、志村第三小学校にて。
安全・安心・支え合いの小地域福祉活動すすめる「おたがいさまネットワーク」という地域のいろいろなグループが集る団体に参加して、2月3日には防災訓練を行います。
要援護者を抱える団体として、また、災害時に視覚障害者をどのように支援していくのかを提案していく立場として、企画にも参加して、留学生と共に参加します。「援護協会の留学生と、近所の車椅子の人を救助して、誘い合って避難所の小学校に行く」。
このような地域のみなさんとの訓練もしています。
お近くの方は是非ご一緒してください。


≪連続講演会 日本とアジアの視覚障害者事情≫第2期・第3回
日時:2013年3月2日(土) 13:30?15:30
内容:「WBUAP:アジア太平洋の視覚障害者団体ネットワーク」
講師:田畑美智子 
WBUAP(世界盲人連合アジア太平洋地域協議会)会長/
日本盲人会連合国際委員/当会評議員
場所:国際視覚障害者援護協会「舟橋会館」3F 多目的室
(板橋区蓮沼町20?18 都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅A1出口下車徒歩3分)
定員:30名(定員になり次第締め切ります。お申し込みは、お電話または e-mailにてお願いします)
連絡先:03?5392?4002/ e-mail:info@iavi.jp
会費:無料
主催:社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会
後援:社会福祉法人 板橋区社会福祉協議会


= 編集後記 =
インドネシア・元留学生アグスさんから11月5日、点字のレターがありました。彼が中心になっているインドネシアの視覚障害者の為に活動をしている点字会財団の活動が経済的な理由で大変な状況ということです。今回のロータス通信には間に合いませんでしたが、詳しい状況の把握を行い、ロータス通信でも紹介をして、具体的な支援を考えていきたいと思います。(愛)

= 業務日誌 =
10月 9日 豊田宗周さん、事務局にボランティア出勤開始。
10月11日 お互いさまネット月例会に参加。
10月14日 今年度留学生、カトリック志村教会のミサに参加。
10月16日 理事長、広島大学を訪問。
10月20日 今年度留学生歓迎・留学生交流会を実施。
       元留学生アズリンさん母娘来館、宿泊(?25日)。
       インドネシアブライユ協会、アグスさん一行、来日。
10月25日 埼玉県立特別支援学校塙保己一学園訪問、入学相談。
       アズリンさん母娘を囲む夕食会を実施。
10月28日 卒後鍼灸手技研究会、今年度第4回講習会を実施。
11月 2日 都立文京盲学校訪問、入学相談。
11月 4日 お互いさまネットワーク、防災訓練に参加。
11月 5日 都立八王子盲学校訪問、入学相談。
11月 6日 筑波大学附属視覚特別支援学校推薦入学試験受験。
11月 8日 推薦入学試験結果発表(二人共に合格)。
      巣鴨大鳥神社酉の市を見学。
11月11日 留学生、カトリック志村教会バザーに参加。
11月13日 板橋ふれあい祭り第1回実行委に参加。
11月15日 お互いさまネット月例会に参加。
11月16日 板橋区社会福祉協議会大会のバザーに出店、参加。
11月17日 第5回アジアの視覚障害者事情講演会(講師:乗松先
生)を開催。
11月21日 第5回視覚障害者雇用継続支援セミナー(主催:NPO法人タートル)に参加。
11月23日 留学生、神奈川工科大学学生さん主催の厚木のバーベ
キューパーティーに参加。
11月25日 卒後鍼灸手技研究会、今年度第5回講習会実施。
11月26日 日盲社協、衆院選に向けた点字部会会議に参加。
11月30日 理事長、キルギス・ウズベキスタンの視覚障害者事情を視察(?12月7日)。
12月2日・3日 板橋障がい者週間のバザーに出店、参加。
12月7日 留学生、第10回徳丸芸能祭に参加。
 



社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会(IAVI):https://iavi.jp/

〒174-0052 東京都板橋区蓮沼町20-18

電車でお越しの方:
都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅下車
「A1」出口を右に出て一つ目の信号を右に曲がり、右手3軒目。徒歩3分。

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